昨今の自転車事情とサイクルラックがよく壊れるワケ(電動アシスト自転車と3人乗りの周辺)

今回は、自転車に纏わる昨今の事情について。

・・・と言っても趣味のそれではなく、街中を普通に走っている一般的、実用的なもの、いわゆる「ママチャリ」に関連する話です。

(写真はイメージ)

 

 タイトルからして長ったらしいし本文もかなり長いので、本稿の要旨を先に言いますと以下のようになります

◆ 増加するサイクルラック関連のトラブル
◆ 重厚長大化する昨今の自転車
◆ 背景には電動アシスト自転車の普及と3人乗りの合法化が
◆ とにかく暴走自転車に激突されないよう気をつけよう

・・・以下に説明おば。

 

1.まず序論として

 我がマンションの住民総会でここ数年来の懸案となっているのが、ほとんどの住民が頻繁に使うサイクルラックの件です。

問題は、主に2点。
 (1)収納キャパの不足
 (2)故障の頻発

 都市部のマンションであれば、多かれ少なかれ同じような問題が発生していると思われますが、このうち1(1)は、「居住者の需要vs駐輪可能な台数」とか「ラックの増設は可能か」などの個別条件に入り込むのでここでは脇に置くことにして、現実に多発しているであろう、そして我がマンションでも困っている1(2)の方を考察してみます。

サイクルラック(2段式、下段は横スライド式)

 

2.故障が頻発するサイクルラック

 我がマンションのそれは上下2段式で、下段が横方向にスライドするタイプです。そのラックで最近、ローラーやスプリングなどの細かい部品がよく壊れて、上段の上げ下ろしや下段のスライドの調子が悪くなり、たびたび部品交換を迫られて、マンション自治会の積立金から支出してその都度修理する、ということを繰り返しています。

壊れる原因は、主に二つ。
 (1)使い方が荒い(粗雑な扱い⇒壊れる⇒調子悪い⇒更に乱暴に、という悪循環)
 (2)最近の自転車の大型化、重量化(後述)

 2(1)については、「修理費が嵩むので丁寧に扱おう!」とポスター掲示での注意喚起で住民意識の啓蒙を図っていますが、そんなの「焼け石に水」という意見もあり、まあやらないよりマシかぁ〜、という程度。

2(2)に関する事情について次項以下で説明します。

 

3.ようやく本題

 この頃なんとなくお気づきの方も多いと思いますが、前項2(2)のように最近のママチャリって押並べて大きく重たくなっているんです。

その要因は、主に3つ。
 (1) 電動アシスト自転車(以下、「電ア車」と略します)の普及
 (2) 普通の自転車も電ア車とほぼ同じサイズ、仕様のものが増えた
 (3) チャイルドシートを取り付けた自転車が増えた

 多くの場合、(1)と(3)、(2)と(3)はセットになりますから、大きく重くなっている背景には、いくつかの要因が重なり合っていると言うことが出来ます。

 

4.普及が加速する電ア車(前項3(1)について)

 ご承知のように、電ア車はとにかく乗って楽だし、最近は量産効果でコストも下がり、それなりに手の届き易いものになりました。坂の多い街ばかりではなく、普通の平地の街並みでも子供を乗せた電ア車を本当によく見かけます。

 筆者は、試し乗りしかしたことがありませんが、上り坂は平気でグイグイ登れちゃうし、平地でも少しの踏力で快適なスピードが出せるので、生活の道具として一旦使い始めたら普通の自転車には後戻りできないかもしれません。

代表的な電動アシスト自転車(Panasonic

 

5.電動アシスト自転車と普通のママチャリの違い

ここで電ア車の構造的な話を少々。

普通の自転車は、当然ながら人間がペダルを脚む力のみで動きます。

 一方、電ア車には、ペダルを踏む力を検知するセンサー、踏力を補助するモーターとバッテリー、その力をチェーンに伝えるための駆動装置など、普通の自転車にはない+αの部品が搭載され、それらが複合的に働くことであの快適な乗り味を作り上げています。

 当然、それらの部品はそれなりに重たいものですし、また搭載するためのスペースも必要なため、一般に電ア車は普通の自転車よりホイールベース(車軸間の距離)が伸ばされています。

 すなわちフレーム(金属パイプでできた部分)が前後に伸びた分だけ車重は増えるし、フレームに取り付けられるタイヤ、スタンドほかの部品も、それに見合った強度のある、言い換えれば重いものが使われています。

 以上の理由から一般的な電ア車は、普通のママチャリに比べて最低でも全長が20~30cmは長く、重量も5~10kg程度重たくなっています(あくまで同じタイプのものを比較しての一般論)。

 

6.普通の自転車も大型化、重量化へ(3(2)について)

 続いて電ア車とふつうの自転車が一見似たようなものになってきている、という話。

 自転車メーカーも当然営利企業ですから、市場に出す製品に関するコストダウンは常に考えているはずです。

 おそらく製造バックヤードや目に見えないところでいろいろな創意工夫を凝らしていると思いますが、最近、一番目に付くのが主要部品の共通化です。

 一見普通のママチャリだけど、電ア車と同じフレームや部品(ホイール、タイヤ、スタンドなど)が使われている、言い換えれば従来の自転車より少し大きくて重い、そういうタイプのママチャリをよく見かけるようになりました。

普通のママチャリ(主要部品が電動アシスト自転車と共通化されていると推測される)

 

 そして国内、海外を問わず量産メーカーは同じことを考えるはずですから、そのタイプの自転車は今後ますます増えてくるでしょう。

 つまり将来的には、普通の自転車(あくまでママチャリレベル)と電ア車は、大雑把な外観がほぼ同じになり、違いはモーターやバッテリーなどの搭載が有るか無いかだけ、そんなイメージです。

 以上のように4〜6の大きく重くなる事情、それに加えて後述するチャイルドシート搭載の増加で、既存の、言い換えれば従来規格のサイクルラックが壊れ易くなる傾向は、今後も続くものと筆者は考えています。

 

7.法令改正とチャイルドシート(3(3)について)

話の方向性が変わって、自転車の二人乗りについてです。

平成21年に自転車に関連する大きめな法令改正、地方条例の改正がありました。
(PDFファイルが開きます)「自転車の正しい乗り方 – 警視庁 – 東京都

 上のPDFファイルにも描いてありますが、従来の道路交通法では自転車には運転者以外の乗車は認められていなかったところ、所定のチャイルドシートを取り付けた場合に限り、また、16歳以上の運転者に限り、6歳未満の幼児を2人まで乗せることが出来るようになりました。

 あくまで条件付きですが、普通の自転車に最大3名乗車ができるようになったのです。これは大きなエポックでした。

 ちなみに、チャイルドシートの構造や強度に関しては、法律や条例で規定されてはいませんが、安全性が認められたSGマーク付きのものが多くの自治体で推奨されています。

 それら幼児用シートを前後合わせて2個取り付けると、元々はシンプルだった自転車もかなりの迫力を醸すようになるのは、衆目の一致するところだと思います。

チャイルドシートを取り付けた電動アシスト自転車(単なる自転車とは言えない迫力!)

 

 ちなみにブリジストンのカタログを見ると、前用が3.5kg、後用で4.5kgの重量があり、その2つを取り付けると合計8kgの積載荷重となりますから、ある意味、幼児がいる家庭の自転車は電動アシスト付きが現実として必須になっているのかもしれません。

 

8.私は大型バイク「ハーレー」を連想する

 前後に大振りのチャイルドシートを取付けた電ア車。子供二人を乗せてママは脇目も振らず歩道を走り去っていく・・・

 最近、こんな光景をよく見かけるようになりました。セール中のスーパーにでも向かうのでしょうか。後ろの子供が小学生に見えたとしても、そこは目を瞑りましょう(汗)。

 そんな3人乗りのママチャリ電ア車がいったいどれくらいの重量になるのか、簡単に計算してスポーツタイプの自転車と比較してみました。

【ママチャリ:電ア車にママと子供二人乗車】
 自転車27kg、チャイルドシート2個で8kg、ママ50kg、子供(1)20kg、子供(2)15kg、合計120kg

【スポーツタイプ:ロードバイクに男性一人乗車】
 自転車12kg、運転者68kg、合計80kg

 ウム、な、なんと1.5倍でママチャリの圧勝。これで筆者がハーレーダビッドソンを連想しても決しておかしくないことが裏付けられました(汗)。

ハーレーダビッドソン

 

 電ア車は、重さが嵩んでいる上にスピードも半端なく出ますから、そんな重量物との交錯は歩行者にとって今後ますます日常的なリスクになるでしょう。人vs自転車の関係性が人vs自動車のそれに限りなく近づいてゆく・・・、残念ながらそんな現実に一歩ずつ近づいているような気がしています。

 あまり考えたくはありませんが、自転車にも自動車のような自賠責保険制度の導入が必至、そういう事態にもなり兼ねないかと。しかし、いくら自転車側が保険に入っていたとしても歩行者にしてみれば結局は当てられ損だし、まして無保険だったらお互い悲惨なことになります。乗り手のモラルと技術の向上、併せて行政サイドによる実情を踏まえたインフラと法制度の整備が、何より先行して行われなければなりません。

 

さて、長くなりましたので、そろそろまとめにかかりましょう。

結論として、冒頭に挙げた4点に以下の2点を加えたいと思います。

◆ これから先、サイクルラックなどの自転車の保管、駐輪に関連するビジネスは伸びる可能性が大。
◆ サドルに跨りハンドルを握ったら、「強者」の側に回ったと心すべし。

 

以上の6点が本稿で言いたかったことです。
 筆者は「自転車」という乗り物とその文化が好きなだけに、日本国内での自転車を巡る実情とイメージが今以上に良くなること、また、自転車がもっと大事に扱われることを願ってやみません。

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