あけましておめでとうございます。
今年も相変わらず同じことをやっていきますので、よろしくお願いします(笑)。
さて、正月早々いかがなものかと思いましたが、先日アップした「一年のまとめ_2019」に書き忘れたタイトルの件を取り上げます。
昨年の前半に実家を引き払ったことをきっかけにして、自宅の方に仏壇一式を新しく設えました。
ちなみに、新しい仏壇一式の内容は大雑把にこんな感じ。
- 仏壇(自宅の事情からコンパクトで割と洋風なもの)
- 御本尊(父方の宗派に合わせ大日如来様にお越しいただいた)
- 位牌二柱(父母の分&ご先祖様ご一行)
- 仏飯器・茶湯器(供物と水は欠かさずに)
- 花立(生花も切らさないようにしている)
- 香炉(線香の煙は気にならない、というか割と好きな方)
- 燭台(ほとんど出番はない)
- 線香差(ミニサイズ)
- おりん&りん棒(同じく)
これら一式を取り揃えたうえで、都内の某有名なお寺さんにお布施をして魂入れをしてもらいました。これで万全、と思いきや・・・
仏壇には一応毎日手を合わせています。そのときに必ず鳴らすのが「おりん」ですね。
あの「チーン」という澄んだ音色には、一説には邪念を払うとか、供養や祈りを極楽浄土に届けるといった意味合いがあるそうです。
字面で表すなら…
チいーーーーーーーー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ン
心が洗われるような澄んだ音色ですね。これが普通かと。
ところが、仏壇一式に含まれて我が家にやって来たおりんは少し違っていて、筆者の耳にはこのように聴こえました。
チい(び)ーーーーーーー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ン
これ、購入当初は気が付かなかったのですが、音の余韻にわずかにビビったような割れたような音が混ざるのです。
うまく伝わるとよいのですが…
使っているうちに耳が慣れると思いましたが、約半年経っても聴覚上はまったく変わらず、むしろ(び)が耳についてますます気になってきます。
ストレスフルな状況はいつまでも続けるわけにはいきません。昨年末、購入した仏具店に件のおりんを持ち込んでみました。
以下、その時の店員さん(70代後半とお見受けする物腰の柔らかい男性)とのやりとりです。
筆者が持ち込んだものをAとします。
- 筆者
- (Aを一回鳴らして)音がビビって割れているような気がするのですが……
- 店員さん
- そうですか?、(しばらく聴いてから)これ普通の音色だと思いますよ
- 筆者
- (もう一回鳴らす)音の余韻に(びーン)と割れた音が入りますよね?
- 店員さん
- ウーム、私が聴く限り普通のおりんの音色だと思いますが……
- 筆者
- (再び鳴らす)ビビった音がお分かりになりませんか?
埒が明かないと思った店員さんは、店の奥から同じ製品Bを出してきました。
- 店員さん
- 聴き比べてみましょう。私には二つが同じ音に聴こえますがいかがですか?
- 筆者
- フム…、わずかな音の高さの違いはさて置き、Bの音色はきれいに澄んでいますね。Aの音とは明らかに違います。
- 店員さん
- そうですか、私の耳に両者は同じに聴こえるのですが…
- 筆者
- 失礼ですが、製品の瑕疵ということはありませんか?
- 店員さん
- 私がこの場で見る限り、物理的な異常や変わったところはございません
筆者が聴く限り、AとBの音色の違いは明らかでした。Aはビビっていて、Bは澄んでいます。筆者としては、ギターで慣らした耳には自信がありましたし、片や店員さんはこの道ン十年の自信をお持ちのようでした。
(こりゃ持久戦か〜)と思ったところで、店員さんから一つの妥協案が示されます。
- 店員さん
- お客様がご不満とあれば、おりんAはBと交換いたしましょう。
ただし、当店でAをお引き取りしても仕入れ先に返品はできません。
ですので、交換にあたっては申し訳ありませんが元値の1/3だけお支払いいただけませんか。 - 筆者
- (オォっ、そうきたか)
結局筆者は、提示された妥協案を呑みました。
理由は3つ。
- 購入時に音色の確認をしていた
- 仏壇のことで揉めたくなかった
- 妥協案の内容が許容範囲だった
以上のような事情を経て、2020からは澄んだ音色で仏壇に手を合わせている次第です。
この経緯に関して感想は3つ。
- 音の感じ方には個人差があり、それが表面化した場合にはその溝は埋めがたい。
- 仏具店の静かな環境では、どんなクレームでも強硬に申し立てる気にならない。
- 仏具とは、結局高価なものである。
そんなことがあってから、以前にも増しておりんの音色には耳を澄ますようになり、合掌する際にはより集中すようになりました。
これすなわち、仏縁というものでしょうか。