二度目の線維柱帯切除術はやはり…(少し専門的な話あり)

11日間の入院生活を終えて今日、家に帰ってきました。

前回の投稿に少し書いたように、緑内障による視野狭窄の進行を遅くするための「線維柱帯切除術」という厳しい名前の手術と経過観察のための入院でした。

主治医(文中では”瞳先生”としています)によると珍しいくらい経過は良いとのことです(イチかバチかという意味ではない)。

以下は、入院中の日記です。同じ手術を検討している方、控えている方などの参考になれば幸いです。

ちなみに必ず読んでいただきたいのは、少し専門的な話を含む一番最後の「参考までに」だけですのであしからず(笑)。

 

 

1日目:2/19(火)

AM9:30から眼科で予診後、手術準備の点滴針を刺され、11時過ぎに病室に落ち着く。病院の都合で今日だけは個室。静かだし気を使わないので楽チンだ。

午後の手術スケジュールは遅れ気味で、私の番が来たのは17時近かった。

正味1時間の施術は局所麻酔だから意識はあり、切る、縫うなど何が行われているのかはだいたい分かる。体感的には、麻酔の効果は眼球の表層だけのようで、切る時の痛みはそれほど感じないが、排水口代わりの孔空けや切った部位を縫うときは、前回右眼の時と同様に半端なく痛くて不快だった。

「○○さん、終わりましたよ」と主治医に声を掛けられ時の安堵感、開放感、脱力感も同じだった。「ありがとうございました」と声が出せただけ前回より進歩したが、聴き取れたかどうかは定かでない。

病室に戻り1時間の安静後、夕食。被術眼の痛みにも関わらず完食。手術に耐えるだけでもエネルギーを消耗するのだ。

8時近くになって家人Bが来てくれた。今日は仕事で高尾まで行っていたらしい。毎日遅くまで頭が下がる。

愚痴が多いが、主治医の瞳先生ほかスタッフの方々には感謝の一言である。手術が無事に終わりました。ありがとうございました。

 

 

2日目:2/20(水)

昨夜、早く寝たのでAM2時過ぎに目覚めてしまい、夜明けまで悶々としていた。

午前と午後に眼科の診察。今日は瞳先生は不在なのでオトコ先生と院長先生だ。被術眼は手術翌日としては良い状態とのこと。術創の鈍痛は治ったが頭痛がある。

午前中、大部屋に移動した。スペースは狭いし音をたてないよ気を使うが贅沢は言えない。災害避難所はこんなもんじゃないだろう。

運動不足にならないようスクワットを始めた。また、今日は最高気温19.5℃で暖かかったので外に出てみた。

1日が長いようで短い。明日はシャワーでさっぱりしたい。9時だ、寝るか。

 

 

3日目:2/21(木)

被術眼の眼圧はAMは7、PMは7~8。このまま落ち着いてくれれば御の字だが、「そうはいかないでしょう」said瞳先生。

上昇気味なら4本の縫合糸を1本づつ切り、下降傾向なら注射針で空気注入を繰り返す、という処置になる。

前回左眼の時は、空気注入を2回して痛い思いをしたが、今回はどうなるのかやや不安。

昨夜はロキソニンを飲んで寝たので頭痛は治まっている。頭痛は、手術で眼球にメスを入れていること、炎症が治まっていないことによるもので、心配ないとのこと。

午前中シャワーでさっぱりした。眼に水が入るのが怖いので、洗髪は「水のいらないシャンプー」で済ます。

3度の食事は相変わらずおいしいが1日が長い。

 

 

4日目:2/22(金)

AMは11(院長)、8(瞳先生)、3(眼球マッサージの直後)、PMは9。右眼は相変わらず7。

今回左眼は、前回の右眼と反対に上昇傾向のようだ。空気入れではなく縫合糸を切る処置になるのかも。そちらの方が痛くないことを祈る。

今日はシャワーをし損ねた。夜になって身体が痒くなってきたので明日はなんとかしたい。便が硬くて辛いので「ラックビー」を服む。

5人部屋の入居者はどんどん入れ替わる。

看護師泣かせの爺さんが一人入ってきた。何かにつけてNCでナースを呼ぶ。ご飯まだ?、オシッコ出た、オナカ痛い、間違えて押した等々、小学生も真っ青のリクエストの連続には笑ってしまう。元来寂しがり屋の爺さんなのだろう。

決して怒らず常に優しく辛抱強く病室にやって来るナースの対応には頭が下がる。

 

 

5日目:2/23(土)

相変わらずAM3時前には目覚めてしまう。6時間弱は眠っているので気にせず起きていることにした。

土曜日で病院は休日シフトだが、瞳先生は当直明けとのことで、8時前には病棟に来て診てくださった。術眼8、右眼7。術眼を軽くマッサージ。

手術で新たな設けた排水孔が自然回復力で癒着して塞がらないよう、また、眼圧が10mmHg以下に安定する程度の通過水量に落ち着くよう、経過観察と術後処置が続く。

午前中はシャワーと洗濯で時間が潰れた。天気が良かったので陽当たりの良い談話室で和んでいたら、バイタルチェックに来た看護師さんに「居なくなって心配した」と怒られた。万が一病院外に出てインフルでも持ち込まれたら、という強い懸念があるようだ。

午後は文庫本、Airpods、iPadで時間を潰したが長かった。

 

 

6日目:2/24(日)

日曜日だから診察はない。ナースは休日シフト、面会はインフル流行で全面禁止中だから、病棟のフロアは静まり返っている。

今日も身体が痒くならないようシャワーを使った。頭は、相変わらず水のいらないシャンプーでしのいでいる。

術後の左眼は、前回の右眼より視力の回復が速いようだ。日に4回の点眼で瞳孔が開いているからボヤけてはいるし波はあるものの、右眼とほぼ同じ見え方になりつつある。

眼球の鈍痛とゴロゴロ感は、ほとんど消えた。明日月曜は、眼圧がどの程度になっているか。今後の処置と退院に関連するので気になる。

そうそう、同室だったナース泣かせの爺さんがいなくなった。個室に移ったらしい。ちょっと寂しいかな(^^;)

 

 

7日目:2/25(月)

6日目にしてベッドと枕に慣れたせいか、割とよく眠れるようになった。

本日の眼圧は、午前が術眼9と右眼7、午後が9と8。瞳先生と院長先生の判断で、縫合糸を1本切ることになった。水の流れを増やし、術眼の眼圧をもう少し下げて安定させるためだ。糸切りはハサミではなくレーザー光線を当てて切る。処置自体は1~2分で終わり、痛みは全然感じなかった。明日の眼圧が気になる。

相変わらず1日が長いので、どうしても間食をしてしまう。便の具合は、ラックビーが効いて丁度良くなった。

筋力低下が怖いのでスクワットをしている。1日に60回×2セットだから効果は怪しいがやらないよりマシだろう。早く退院したい。

 

 

8日目:2/26(火)

本日の眼圧は、午前が術眼5と右眼7、午後が7と8。昨日、糸を1本切った効果だ。瞳先生から「退院は3/1金曜日ということで良いですか」とお言葉があった。(水)、(木)と様子を見てこのまま落ち着けば…、ということだ。中2日は、永く感じるがもう少しの辛抱だ。

午前中は診察とシャワーで時間が過ぎた。午後は相変わらず長い。敷地内のコンビニにあった「都こんぶ」が病室での間食に丁度良い。煎餅はボリボリ音がするので遠慮しながら食べている。そのくらいで丁度良いのかも。

 

 

9日目:2/27(水)

本日の眼圧は、午前が術眼5と右眼8。ようやく低値で安定してきた。術創の回復も順調のようで、瞳先生のコメントは「良かったですね」と明るい。午後の診察はなし。

線維柱帯切除術の術後の経過は、まさに千差万別で個人差があり、必ずしも成功が当たり前というわけではないらしい。その中で一昨年に手術した右眼は、いまだに7~8mmHgを維持しているのでかなりの優等生とのこと。

手術前の診察時には「お兄さんが優秀なので今回は・・・」とプレッシャーを感じているようなコメントが瞳先生からあり、やはり医者も人の子と思った次第。それも含めて今回左眼の経過が良好で、win-winが見えてきたのはとても喜ばしい。

午前中はなんとなく過ぎて、午後はシャワーとシャンプーと洗濯で時間が過ぎた。

 

 

10日目:2/28(木)

本日の眼圧は、午前が術眼7と右眼9。極めて順調だ。

夕方の診察時に退院後の点眼ほか細かな注意事項を聞く。通院は当面週一、点眼は入院中と同じく4種類の目薬を継続、シャワーは次回通院時に変化がなければ解禁。アルコールは3か月目までは控えてください、とのこと。

前回もそうだったけ禁酒が一番堪える。

明日は、11日ぶりに家に帰って普通の生活に戻ると思うと、嬉しいやら名残惜しいやら、変な気持ちだ。今日は不思議と時間が過ぎるのが速かった。

 

 

11日目:3/1(金)

今日で退院だ。朝一で帰り支度を始める。

昨日、瞳先生から「〇〇さんみたいに術後が極めて順調な方ばかりなら、この手術をもっとたくさんの人に出来るのだけど…」と珍しく本音がでた。それだけ線維柱帯切除術は、術後の経過と予後が人によって千差万別のようだ。

臨床の医師は、常に難しい判断を迫られながら、裏を返せば迷いながら日々、患者と向き合っているのだな~と少し同情した。余計なお世話になってはいけないので、何も言わなかったが。

さて、退院に当たって主治医の瞳先生、師匠格の院長先生、看護師さんたち、病棟のスタッフの皆さん、調理室の皆さんほかに厚く御礼申し上げます。お陰様で良い状態で退院できます。ありがとうございました。

忘れちゃいけない、家族にも感謝です。心配かけてすみません。

 

 

参考までに

前回、一昨年に手術を受けた右眼は、術後の眼圧が下降傾向でしたが、今回の左眼は逆に上昇傾向でした。あくまで筆者の経験上ですが、それぞれの場合の処置には以下のような違いがあります。

【下降傾向の場合】眼球の眼房(たぶん前眼房)に注射針で空気を注入。
【上昇傾向の場合】手術で切開した強膜を縫合した糸をレーザーで切断。

 

手術後に行う上記の処置の目的は、この手術で眼球の「線維柱帯」と言われる部分と「虹彩」の一部を切開して新たに穴(排水口)を設け、そこを通過する房水(眼球内の水)の流量を適切にコントロールして、眼圧を目標値(筆者の場合は10mmHg以下)に落ち着かせることにあります。

 

手術で設けた排水口は、いわば「切り傷」のようなものですから、手術後には傷を治そうとする人体の回復力で徐々に癒着が始まります。その過程で眼圧の変化を見ながら、上記の処置を繰り返す(1回で済むこともある)ことで、眼圧を目標値に落ち着かせるところにこの手術と術後処置の難しさがあり、また個人差が大きく出るところでもあります。

 

ちなみに、手術で設けた排水口(切り傷)は、房水が流れていることで塞がりにくく(癒着しにくく)はなりますが、人体の回復力でいずれは塞がってしまいます。塞がるまでの時間には個人差があるため、場合によっては傷を治りにくくするために、細胞の増殖を抑えるマイトマイシン(抗がん剤)を使う場合もあるようです。

 

また、もう一つ付け加えると、
「注射針で空気を注入」する処置は、眼球に針を刺すのでとても痛い
「糸をレーザーで切断」する処置は、一瞬で終わり痛みはほとんどない

この違いが、今回手術を受けるに当たって一番気がかりなことでした。
すなわち今回は、糸を切る方の術後処置のみだったので、手術自体を除きほとんど痛みを感じることなく退院することができた次第です。

 

※以上は、あくまで素人目線、患者目線での参考として捉えていただければ幸いです。詳しくは専門の医師に説明を受けることをお勧めします。

【緑内障シリーズ】

 

 

 

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