ここに来てようやく書評を書く余裕が出てきました。前回アップは3月。このところだいぶ涼しくなりましたしね(汗)。
とりあえず2冊分にしておきます。あまり頑張ると続きませんから。
- 三浦しをん「風が強く吹いている」★★★★★
- おんぼろ下宿アパートに集まってきた10人の個性派大学生。古株の清瀬灰二が突如、箱根駅伝を目指すと宣言し大騒ぎとなる。高校陸上で挫折した蔵原走(カケル)を始めとする面々は、初挑戦で果たして予選を突破し箱根に向けて襷をつなぐことができるのか。
風を感じながら力強く走る素晴らしさと、人と自分を信頼することで不可能を可能にするという、現実にはあり得ないであろう夢を生き生きと描く、小説の王道を行く小説。
30年若ければ感化されてシューズ買って走り出しているかもしれない。 - 萩原浩「四度目の氷河期」★★★★★
- 遺伝子研究所に勤める母と二人、町はずれの一軒家で暮らす少年ワタル。髪の毛や目の色が人と少し違い、何故か槍投げに執着する自分の出自に疑問を持ち続け、大学入学を前にとうとう一つの決断をする。
自分のルーツを探し続けるちょっと思い込みの強い少年の成長譚、と言ってしまえばそれまでだが、そこは捻りを効かせた話の得意な直木賞作家。上手い、上手すぎる。なおかつ「サチ」が後からジワジワ効いてくる。
鼻ズルズル、乗り越し注意なので電車で読んじゃいけない種類の小説。絶対お勧めです。
ついでに言い訳を少々。
空白の4〜8月もそれなりに読んではいましたが、6月は再就職でナーバスになっていたせいか、家でも通勤電車でも本を開く気が起きませんでした。
一方、傾向としては今回挙げた三浦しをん、萩原浩に有川浩を加えた3人が最近のマイブームで、さらに鉄板の2人(浅田次郎、宮部みゆき)を加えた5人がホームグラウンド。
アウェイで伊坂幸太郎、米澤穂信、道尾秀介あたりに手を伸ばしながら、若い頃夢中で読んだ翻訳SFに再び秋波を送りつつ、四国巡礼を始めた頃から仏教本にも興味深々、ってのが読書の近況です。