4月は3冊。
なんだかんだで書評アップが月末ぎりぎりになってしまった。ちょいとここには書き辛いなんだかんだではあるが決して悪くはない。むしろ上機嫌で今期ひと月目、再就職11か月目を終えることが出来る。ありがたい。
- 宮部みゆき「刑事の子」★★★★☆
- 本書は1990年が初刊で、当ブログを書き始めるだいぶ前に一度読んだ気がする。この頃既に「絶対的な悪意」をモチーフに取り入れていたのかと再読して改めて思ったが、もちろんそれだけの作家ではない。人を見る目の確かさ、暖かさが根底にはある。
気になる点は、中1の主人公八木沢少年の非現実的な賢さなるも、そうした設定もまた宮部らしい。 - 百田尚樹「影法師」★★★★★
- 政治的な面で一時期世間に話題を提供した著者だが、思想はさておいてもこの人は、「一本気なオッサン」、「情に篤いオッサン」、「憎めないオッサン」なのだと私メは思う。もっとも「永遠の0」、「海賊とよばれた男」、そして本書の3冊しか読んでないが何となく分かるのだよ、一本気の「いい人」であることが。
- 浅田次郎「一路(上)、(下)」★★★★★+★★
- 浅田次郎は、現代日本の宝である。本書で確信した。
亡き父の跡を継ぎ、古式に則った参勤交代を復刻せんと一所懸命に行列を率いて江戸を目指す御供頭小野寺一路。道中すれ違いざまに一目惚れされた加賀百万石の乙姫様の肩を抱きつつ呟くに曰く「人はみな、貧富貴賤にかかわらず、つらい道中を行く旅人にござりますれば。さだめという重き荷を負うた、おのおのが等しき旅人にござりますれば・・・」。
シリアスなばかりではないぞよ。全編にそこはかとなく上品かつ剛直なユーモアを漂わせつつ物語は戸田の渡しを越え終盤へ。ここまで来ると結末は分かっちゃいるが読み終えるのが惜しくて惜しくて。★2つ余計にやるから「復路編(上)、(下)」を頼む。一路をぜひ許嫁のもとへ戻してやってくれ。