最近読んだ本_2013/06

 前回、書評を書いた時は胃がとてつもなく不調でしたが、その後受けた胃カメラ検査では特に異常は見つからず、とりあえずホッとしています。
 しかし、医師には言いたい。モニター画像を見て「異常なし」と言うだけなら素人でもできる(実際にはできない)。患者は不調を解消してもらいたいからわざわざ病院を訪ねるのだよ。そこんとこよろしく。

 さて、仕事の方がほどほどに忙しくなり、通勤電車で座れるとすぐに眠くなってしまう昨今ですが、今月も4冊読めました。

箒木逢生「アフリカの蹄」★★★★☆
 国名こそ伏せているが、南アフリカのアパルトヘイト政策を背景に描かれたことが明らかな医療サスペンス。絶対悪として描かれるマイノリティの白人と、一方的に虐げられる多数派の黒人。恐ろしい伝染病に侵された黒人コミュニティを救うべく立ち上がるのは、日本から心臓移植の勉強に来ていた医師作田。
 ハラハラしながら一気に読んだが、少々ステレオタイプが過ぎたのと、作田のモチベーションが今ひとつはっきりしなかったので星は4つ。
池永陽「走るジイサン」★★★☆☆
 猿が頭に載っていると思い込んでいるジイサン作次。ひっそりと暮らしながらも身近な女性である倅の嫁、暇に任せて通う喫茶店の娘、茶飲み友達の豊満な妻らに密かな思いを寄せ、時には生々しい感情をも抱く。
 タブー視がちな老人の性をやんわりと織り交ぜながら老いの悲しみを淡々と描く。頭上の猿は、果たして傍観者なのか反面教師なのか。
藤崎慎吾「螢女」★★☆☆☆
 私にとってSFとは、「根気のいる」小説世界なのである。
 一般にSF作家は、荒唐無稽な話を如何にもっとらしく読ませるかに力を注ぐ。だから読者は捻出された虚構と理論的背景のねちっこい説明に延々と付き合わなければならない。若い時にはそれもありだった。なぜなら持続可能な集中力と無限と勘違いするほどの時間があったから。
 それとSF小説の多くは、現実に拘束されない驚くべき世界観を持ち、独断的には約6割の確率で要求された忍耐に見合うSence of Wonderと素敵な結末が待っていた。だから私は、一時期貪るようにSFを読んだ。
 さて本書。残念ながら4割の方だった。なので星は2つ。人生、既に後半戦半ばにして残り時間は短いのだ。
小川一水「 コロロギ岳から木星トロヤヘ」★★★★★
 一風変わった時間ものSFである。四次元空間を生きる異世界生物を媒体として未来世界と交信することになった現代人。木星近くの小惑星に過去の遺物として放置された廃船に閉じ込められる二人の若者を解放すべく、100年の時を隔て考えられる限りの手を尽くす。
 壮大なスケール、程々の理屈、そして心温まる結末のバランスが心地良い。SFっていいね!

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