先日は偶然、とある交通事故の目撃者になってしまいました。
◆ 場所は、自宅から最寄り駅に向かう途上の一方通行の狭い道路
◆ 天気は、晴れ
◆ 時刻は、昼過ぎ
関係者は、軽ワンボックス車と自転車、そしてたまたま発生時に一番近くにいた筆者でした。
◆ 車一台がやっと通る裏路地のT字路
◆ 軽ワンボックスが「T」の縦棒を上に進んで右折しようと顔を出した
◆ そこに自転車が「T」の横棒を右方向から来て出会い頭に衝突
日常から非日常へ、平時から有事へ、ほんの一瞬でそこだけが誰も望まなかった空間に変わってしまう。
◆ 自転車は右に倒れ、ライダーさん(以下、適宜敬称略します)が道路右側のL型側溝あたりに転がる
◆ 軽ワンボックスは、衝突した瞬間に停止。右側のヘッドライトの透明樹脂カバーが割れ周囲に散乱
自転車の真後ろ約10mにいた筆者が、(あっ、ぶつかる)と思った瞬間の事故でした。
そのとき歩いていた筆者の視線は、ちょうど自分の左側から追い抜いて行った自転車にロックオンしていたので、まさに衝突する瞬間を見ていました。
◆ 軽ワンボックスのドライバーさん(以下、適宜敬称略します)が車を止めて降りてくる。
◆ 筆者も横たわっているライダーに駆け寄る。
◆ ほとんど動かないライダー。その脇に転がるヘルメット。
このときは、緊張しました。
◆ ドライバーが声をかける、「大丈夫ですか・・・」
◆ 「う〜ん、息が・・・」とライダー。
◆ その後何度かの呼びかけに、反応は返ってくるもののなかなか起き上がれない。
◆ ドライバーと筆者、・・・しばしの沈黙と逡巡。
怪我人の救護が最優先と頭では分かっていましたが、頭を整理するのと怪我の程度を判断するのにしばらく時間がかかりました。
◆ 「救急車呼んだほうがいいね」、筆者はドライバーに声をかける
◆ 「あ、はい」、「それから警察も」
◆ ドライバー、車に戻る
それから救急車が来るまで5分くらいかかったでしょうか。
この時期(コロナ第3波の緊急事態宣言中)でも割と早く来てくださったのは幸いでしたが、待っている間は長く感じました。
◆ しばらくして救急車、続いて自転車の警官とパトカーが現場に到着
(中略)
◆ 救急隊がストレッチャーでライダーを救急車に乗せ現場を去る
◆ 警察によるドライバーへの事情聴取と現場検証が始まる……
……というような経緯でした。
第三者として目撃した筆者は、ことの成り行き上、現場に残っていたほうが良かろうと判断し、救急隊と警察官に身元を名乗って検証に付き合った次第です。
あれこれ聞かれるままに状況を説明して、ドライバーさんとも二言三言言葉を交わし、現場を離れたのは小一時間ほど経ってからでした。
自転車ごと車にぶつかったライダーさんは、路上に横になったまま「左足が痛い」と言ったり、見た目にも左手と顔の傷から出血して一時は相当苦しそうでしたが、時間とともに次第に小康状態になったように見えました。
一方のドライバーさんは、30前くらいの方とお見受けしましたが割と落ち着いた方で、救急と警察への連絡は案外スムーズだったのではないかと思います。
さすがに、「すみません」とさかんに謝っていましたが、当然ながら痛々しかったです。
閑話休題
さて、その事故を目撃した瞬間から現場を離れるまでに筆者は何を思ったか。
もちろん、一番はライダーさんのご無事でしたが、次に浮かんだのは多少不謹慎かもしれませんが、
「これって、コロナ禍の縮図だな・・・」でした。
というのも、まず軽ワンボックスが、日本人の多くが知っている有名な某ネット通販大手の配送車だったこと。
車体のロゴとドライバーの帽子で分かりました。
そして怪我をしたライダーは、こちらもここ数年で飛躍的に街なかでよく見かけるようになった某出前サービスの配達員だったこと。
自転車には、例の黒いボックスが取り付けられていました。
両者ともに、感染症蔓延防止のためステイホームが叫ばれたり、飲食店の時短営業が推奨されたりしている現時点において多忙を極めている業種の代表格です。
その人達が仕事の途中、住宅街の狭い裏路地で不運にも交通事故に遭ってしまいました。
筆者としては、目撃した瞬間に駆け寄って救護したのは本能的なものでしたが、その後現場検証が一段落するまでの何だかんだにお付き合いしたモチベーションには、少しでもライダーさん、ドライバーさんの力になれればとの思いが混ざっていました。
ちなみに、過失割合は筆者の印象としては五分五分のように見えました。
ライダーさんは、もしかするとハンドルに取り付けられたスマホに入ってくるオーダーを気にしていたのかもしれない。
また、ドライバーさんは、もしかすると次の配送場所への道順に気を取られていたのかもしれない。
それらは、あくまで筆者の推測にすぎませんが、お二方ともに連日多忙が続き、その日も忙しく街中を走り回っていたことは想像に難くありません。
仮に、どこかに過失があったとしても不運としか言いようがない、本当にお気の毒なことです。
ライダーさんの怪我が軽く済み一日も早く全快され出前代行を再開できますこと、そしてドライバーさんが過度に過失を問われることなく早めに仕事に復帰できますことをお祈りします。
以上です。