書評の投稿をサボっていたら早くも12月になっていました。
昨日は、20年近く前に仕事でお付き合いいただいたIさんを、横浜は山下町に訪ねました。ひとしきり懐かしい話で盛り上がったのち、中華街にお誘いいただき更にもうひと盛り上がり。現在は独立して事務所を持ちマイペースな日々とのことで、温厚、ソフトなお人柄はまったく変わらず、良い年を重ねているご様子でした。
ちょっと飲みすぎましたがとても楽しいひと時。年末の忙しい中、同行してくれた会社のYさんにも感謝です。
さて、11月は小説3冊、ノンフォクション1冊。どんだけ生きても知らないことは無くならないのだろうな〜、と思うこと頻りです。
- 矢部宏治「知ってはいけない 隠された日本支配の構造」★★★★★
- 日米地位協定を運用するために設けられた単なる実務者会議「日米合同委員会」が、実は日本を深いところで動かしている、と著者は力説する。メンバーは、日本の官僚と在日米軍トップのみで政治家はいない。占領時代から続く米国支配の構造をそのまま維持する役割を果たしているという。
- これが事実とすれば、日本はいまだにアメリカの占領下にあることになる。改めてその前提に立てば、前にも書いた「何かがおかしい日本国」の根源が見えて来るような気がする。
- だからと言って何をどうすればいいのかは分らないが、少なくともこうした実情を日本人の多くが知るべきだろう。また、知らせることが出来る政治家、マスコミには、重い責務があると思う。それをしないまま「知らない」、「知らせない」が今後も続くなら日本の戦後は終わらないし、永遠に「普通の国」にはなれない。
- 原田マハ「旅屋おかえり」★★★★☆
- 旬を過ぎたレポーター丘えりか。唯一の旅番組が打ち切りになり、さても困って所属プロの社長と手を組み旅に出られない人の夢を叶える旅代理業を始める・・・。
- 軽く読めて心が温まる一冊。旅に出たくなった。
- 藤崎翔「神様の裏の顔」★★★★☆
- 生前、神様のように「良い人」だった元教師の坪井誠造が、実は殺人ほか悪事なら何でも働く極悪人だった、という設定。中盤までは、タイトルどおりなのですんなり読めるが、その後の展開はさすが横溝正史ミステリ大賞、・・・と言うに留める。
- やや反則技に近いかなと思わせる最終盤に、ちょっと白け気味になったのでマイナス一星とした。
- 北村薫「飲めば都」★★★★★
- 著者は、どうしてこうも女性の心理、特性、行動が分かるのだろう。「円紫師匠と私」シリーズを書いていたころは、カオルさんは女性!と勘違いしていた読者も多かったそうな。
- 加えて本書では、酒飲みへの愛が感じられる。主人公の都と彼女を囲む飲兵衛達も良い。救いようのない酔っ払いが一人居れば完璧とも思ったが、著者の上品な世界には棲めるはずがない。ユーモアもたっぷりで読み終わるのが惜しい至福の一冊だった。