暑中お見舞い申し上げます。
早すぎた梅雨明け宣言、いきなりの連続猛暑、熱帯スコールかっ!と突っ込みを入れたくなるようなゲリラ豪雨、天気以外でも放火殺人、外国の列車事故などなど。
じぇじぇっ、ということの多かった7月でした。選挙もあったし。
さて、少し早いけど今月も4冊読めました。
- 小泉喜美子「弁護側の証人」★★★☆☆
- 昭和38年に書かれたどんでん返しで有名な推理小説、だそうな。当時は斬新だったであろう「あるアイデア」には、そう来たか!と唸るもいささか古さ、展開の緩慢さが鼻に付く。50年の時は残酷。
- 大村あつし「エブリ リトル シング ―クワガタと少年」★★★★☆
- 心温まるとても良く出来た6話の連作短編集。後の5話が霞んでしまうほど副題になっている第1短編が素晴らしい。
- 五條瑛「KUNIMORI」★★★★☆
- 若くして亡くなった聡明、美貌の伯母由江の財産一式を相続した武原耕太。引き継いだ貸しスタジオの経営を続けるうちに同じビルに入っていた怪しい集団が失踪し、その後彼らの関係者と思しき少年潤を預かることになる。彼らはどこに消えたのか、そしていったい何者だったのか。
KUNIMORIは、国守だろう。祖国を守るために世の中の闇で必死に働く男たち。もの悲しいラストだが、一人で生きていこうと家を出る潤の決意に一筋の光明を見る。
蛇足ですが、粗にして野だが美ではあるヒロインの音屋月子がとても魅力的。彼女で別編を一本お願いしたい。 - 清水よしのり「夫婦で行くイスラムの国々」★★★★☆
- 日本人にはあまり馴染みのないイスラム各国。私自身、何も知らないと言っていい。
「夫婦で行く・・・」と題しているが,それほどベタベタした描写があるわけではない。むしろ,訪れた国々の歴史,訪ねて歩いた観光地をひたすら淡々と語り,地元の人達との交流的なエピソードは非常に少ない。それでいて飽きずに読ませる文章力は,さすがパスティーシュ作家。どことなくユーモアを感じさせる。
モロッコはフェズのメディナ、東トルコのヴァン猫、グラナダのアルハンブラ宮殿を見に行きたくなった。