読書の秋、かつビッグイベント前だったが読書量は変わらず。通勤の地下鉄内で読むのだから当然か。
- 藤原伊織「雪が降る」★★★★☆
- シブい。シブすぎる。男にしか書けないストイックな短編ばかり6話。作者の夭折が惜しまれる。
- 垣根涼介「ゆりかごで眠れ(上・下)」★★☆☆☆
- 「ワイルド・ソウル」と対を成すったって、冒頭から背景説明に全体の1/3使われてもね。長い割りに中身が薄くてがっかり。この作家には期待しているだけに、ジリ貧でないことを祈る。
- 宇江佐真理「幻の声ー髪結い伊三次捕物余話」★★★☆☆
- 「みをつくし料理帖」シリーズ以降、時代小説、それも人情ものにハマりつつあるのかもしれない。重いものを背負った人たちを描いていながら、あっさりと読ませるのは書き手の人柄か。人物造形が見事。
- 小川一水「時砂の王」★★★★★
- 外宇宙から現れた冷徹無比な謎の侵略機械群に蹂躙される26世紀の地球。人類の完全殲滅を執拗に狙う機械群を追って、時間線の遡上を開始した人型人工知性体たち。人間の心を持つ彼らは、邪馬台国の卑弥呼と後の人類を救えるのか・・・。
- なんとワクワクするプロットなんやろ。久々に手に取ったハードSFに心底驚き、そしてすべてを抱え込んで戦う「使いの王」に、民と自分にまっすぐな「彌与」に涙した。国産SFのレベルが上がったのか、涙もろくなっただけなのか。
- ま、どっちでもいいや。良い小説でした。