2ヶ月分をまとめて投稿するのは2年ぶり。
これ、転職の影響です。
季節外れの暑さでバテたわけではありません(今日はMax35℃)。
最近、通勤の道中1時間ほどの中で読書を再開しました。
ようやく心身とも落ち着いて、少し余裕ができたのだと思います。
1.藤田一照、伊藤比呂美「禅の教室」★★★★☆
悟りとは何か――。禅には「不立文字、教外別伝」、つまり、釈迦の教えは言葉では伝えられないという考え方がある。
では、アメリカで禅を長年にわたって教えてきた禅僧と、仏教に目覚めた詩人が「禅」について語り合うと、どのような言葉が飛び出すのか。
「そもそも仏教って何ですか?」から始まった対話は、縁起や如来などの仏教用語を解剖しながら、坐禅への誤解を暴き立て……。
読むと坐りたくなる、坐禅のススメ。
いやはや、読み始めたのが3月、読了は6月初旬。
曹洞宗の禅僧と現代詩人の対談ということで、ある程度覚悟はしていたが3ヶ月もかかると思わなかった。
決して内容が難しいわけでも読み辛いわけでもない。
むしろ以前から関心を持っていたお二人の対談だし、初心者の体で藤田和尚に臨む伊藤比呂美さんのツッコミは小気味よく、何でも受け止めやんわり禅と仏教を啓蒙せんとする藤田和尚の姿勢は心地よかった。
ここ数年、全般には初期仏教、大乗的には禅宗に傾く興味に十分擦り合う内容だ。
再読リストに入れて、もう少し落ち着いたころまた手にとってみたい。
2.伊坂幸太郎「オー!ファーザー」★★★★★
父親が四人いる!? 高校生の由紀夫を守る四銃士は、ギャンブル好きに女好き、博学卓識、スポーツ万能。
個性溢れる父× 4に囲まれ、息子が遭遇するは、事件、事件、事件──。知事選挙、不登校の野球部員、盗まれた鞄と心中の遺体。
多声的な会話、思想、行動が一つの像を結ぶとき、思いもよらぬ物語が、あなたの眼前に姿を現す。
伊坂ワールド第一期を締め括る、面白さ400%の長篇小説。
出来の良い一人息子に4人の父親。何からなにまでスマートな母親は、ほとんど家にいない。
読み始めはそんな無理なコンセプトが鼻についたが、読み進めるにつれ伊坂氏の言いたいことが見えてホッとする。
次々と手を伸ばしたくなる作家たる所以だ。
「フーガはユーガ」の書評に伊坂氏のベースは、「決して甘くはない世の中を生きる人々へのエールと、他人の辛い経験や憂いを分かろうとする優しさ」にあると書いた。
氏は本作を第一期最後の作品と位置づけるが、うちに秘めるものは時間軸の中でも何ら変わらない。
そうそう、本作では富田林さんのキャラが立っていた。絶対悪と僅かな愛嬌の共存がいかにも伊坂氏らしい。