焼き鳥の思い出(1)

酒肴の王道、焼き鳥について少々思い出を語りたいと思います。

心の中でなぜか焼き鳥と銭湯が結びついていましてね。こどもの頃は,自宅に風呂がなかったので近所の銭湯に通っていました。

私の出身地,東京の下町荒川区では当時,内風呂のある家は珍しくて,その代わり近所には銭湯が何軒もありました。一番近い銭湯は,家の玄関から徒歩10秒の「福助湯」。屋根の高い建物はとても風格があり,もちろん入り口には番台,洗い場にはペンキ絵、脱衣場には火照った身体を冷ます坪庭のある典型的な昔ながらの銭湯でした。

昭和30年代。こども同士の会話では「銭湯」とは言わず「フロヤ(風呂屋)」と言っていました。脱衣入れには籐で編んだ篭が使われていましたから時代を感じます。

番台でお金を払って脱衣場に進むと,おばちゃんが「らっしゃ~い」とピカピカに磨かれた木の床に、脱衣篭をカーリングよろしく滑らせて寄越し,その中に脱いだものを畳みもせずに放り込んで,前も隠さず(失礼!)勢いよく洗い場に向かったものでした。

当時は洗い場の桶がすべて木製で,新しいのが補充されると洗い場にさわやかな木の香りがしましてね。思い返せば味のある良い時代でした。

そんな時代から無情にも時は流れ,篭と木桶は、いつの間にか鍵付きロッカーとケロリン桶に変わり,そして更に時は経ち,平成の時代に入って客足の遠のいた「福助湯」は廃業し取り壊され,その場所につまらないデーハーなマンションが建ちましたとさ。

あれ,焼く鳥の話を書くつもりだったのが,違う話になっちゃった。続きは次回ということで。

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