- 題名
- 心はいつも荒野
- 著者
- 司城志朗
- あらすじ
- 元高校野球児で現在失業中の主人公が見知らぬ男から電話で誘われた。出かけていった先で階段から転げ落ち気を失う。気が付くと車に載せられビニールシートが掛けられている。首筋には絞められた痕があり記憶も失っている。どうやら海に捨てられるらしい・・・
- 頭を打ったことによる記憶喪失と思いきや,意外な事実が明らかにされていく。主人公が殺されかけた裏にはある新興宗教団体との確執が・・・
- お勧め度
- ★★★★☆(4/5)
後半に入って主人公が新興宗教団体に潜入してからは展開が読めてしまって逆に緊迫感が無くなりますが,前半の展開はおもしろかったですね。この作家,全体に人物描写が上手いんだけど,殺人集団から逃げる主人公を助けた先生と車椅子の少女は特に良いです。ストーリーを膨らませています。2人を終盤まで絡ませたらもっと良かったかな。
主人公のことを書くとネタ割れになりますが,少しとぼけた面があって好きですね。先日,紹介した「テロリストのパラソル」の島村とも共通するところがあります。それとストーリーには直接関係ありませんが,警察での取調べの場面が結構怖かったです。現実の取調べってこうだろうな,と思わせられました。