今月は諸般の事情により2冊でした。投稿は、入院中のベッド上より。早いとこ社会復帰してビールが飲みたいです(笑)。
- 藤崎翔「こんにちは刑事ちゃん」★★★★☆
- 殉職後、可愛い赤ちゃんに生まれ変わったベテラン刑事羽田隆信だったが、気がつくとそこはなんと元相棒の新米刑事鈴木慎平の新婚家庭だった。
- 赤ちゃん刑事という無理な設定と、元お笑い芸人の本という低次元の先入観で読んだが、どっこいとても良くできた小説だった。前半から張り巡らされた伏線がエンディングに向けてスパスパ決まるのも心地よい。深みには欠けるがとても面白いのでお勧めです。
- 三浦しをん「まほろ駅前狂想曲」★★★★★
- 本書は、まほろ駅前で便利屋を営む多田啓介と居候の行天春彦が巻き込まれる騒動の数々を人情味豊かに描く「〜多田便利軒」、「〜番外地」に続くシリーズ第三作。完結編である。
- 著者がこの三作を通してテーマとしたのは、「内に影、外には厄介ごとを抱え込みながら、人々の暮らしの中で相互に関わって生きて行くのが人間」と、何事もシンプルにまとめるのが好きな私は考えた。
- 第一作、第二作を読んだのはたぶん3〜4年前だが、本ブログに書評は残っていない。ちょうど仕事と介護の両立で煮詰まっていた時期だ。思い返せば、仕事では部下、同僚、上司、客先、介護ではケアマネさんや病院、ホームのスタッフほか、多くの隣人に力を貸してもらった。だからなんとかその時期を乗り切れたし、今でも感謝している。
- そんな意味で、多田と行天がそれぞれ抱える心の痛みや本シリーズのテーマにはすごく共感する。それに加えて読んで面白いと来れば満点しかないぢゃないか。