今読みかけている小説が割りと重めなものなので、少し早い10月分の読書記録です。
- 沼田まほかる「九月が永遠に続けば」★★☆☆☆
- 「読書界を震撼させたサスペンス長編」がうたい文句なるも,個人的には震撼しなかったし,好きではない種類の小説だった。
バツイチ主婦の一人息子が行方不明になり,必死に居所を捜すうちに登場してくる人物が皆,暗い過去やドロドロした心情を抱えている。そしてほぼ全員のつながりがある陰惨な事件を通して明らかになっていく。
展開が遅い割にグイグイ読ませるパワーはあるが,読後に残るのは不快な疲労感だけだった。 - 片山恭一「世界の中心で愛をさけぶ」★★☆☆☆
- 題名を知っていたので手にとってみた。平易な文章は読みやすいが、人物造形が平板でストーリーもいまひとつ心に響いてこない。だいいち恋人が白血病に苦しむというカビ臭いプロットは何とかならなかったのか。
チッチッチ、無理言っちゃいけない。高校生の純愛物語は、端からオッサンを相手にしてないのだよ。
御意・・・。 - 北森鴻「香菜里屋を知っていますか」★★★★☆
- シリーズ4冊目。最終作の本書でとうとう三軒茶屋の路地奥にひっそりと佇むビアバー香菜里屋が閉店してしまう。
私にとってこのシリーズの魅力は、店のカウンターで夜な夜な繰り広げられる謎解きもさることながら、三茶という舞台への親近感、それにマスター工藤の包容力と供される酒肴の誘惑だった。工藤が店を閉め、朝霧の中に消えてゆくシーンは泣けたな。
早世した北森鴻さんのご冥福をお祈りします。 - 荻原浩「オロロ畑でつかまえて」★★★☆☆
- 奥羽地方の寒村でトウの立った青年会のメンバー達が村おこしのために立ち上がった。村一番のインテリ慎一が東京から引っ張ってきた怪しげな零細広告代理店は、名産、名所が皆無の牛穴村のために掟破りの一発をぶちかます。お陰で村は大賑わいするが・・・
第十回(1997年)小説すばる新人賞受賞作にしてユーモア小説の傑作と。さらりと読めてわりと面白かった。でもそれだけ。