今年も、あと一月になってしまいました。
この頃、アップするのが日記と書評だけになっているような気もしますが、こんな時にはスローガンで気勢をあげることに。
『継続こそブログなり〜!』
投稿は少ないけど・・・。
世の中、お手軽なTwitterやFacebookばかりになってしまうこともないでしょう。
- 荒木源「骨ん中」★★☆☆☆
- 重厚感溢れる作品ながら,結論から言うと私の苦手とする「一族もの」であり,内容はさて置きそれだけで★二つ割り引かざるを得ない。前半の土木建設業黎明期の気骨あふれる男たちにまつわる奮闘記はワクワクしながら読んだが,所詮そこまで。
ぞろぞろ出てくる親兄弟,親類縁者の関係性を理解するのに精一杯で,とてもストーリーを追うどころではない。文中,川戸姓で出てくる誰かは主人公である二代目経営者を指すのか,初代又は三代なのか,文脈から読み取れということならハードル高過ぎである。
さらに,苦労して読み進めた末の終章では,オイオイと言いたくなるような徒労感を味合わされガックシ。骨ん中まで染みた。 - 奥田英朗「ガール」★★★★★
- 40代男性中間管理職の生態と悲哀を描いた「マドンナ」と対をなす快作である。
うまいな〜、さすが奥田さん。30代の働く女性達の行動、心理、生態,ファッションを生き生きと描き,笑わせて共感させて考えさせて,最後に少しだけシンミリさせる。この人,どうしてこんなにサラリーマンやOLの心の機微や襞を表現するのが上手いのだろう。会社員時代に相当苦労したのじゃないか。
個人的には「ヒロくん」に出てくる夫ヒロくんがいい。趣味が高じてオーディオ機器会社に勤める無欲な勤め人で、稼ぎの良い年上女房とは割とうまくいっている。深夜,アンプの分解掃除や真空管磨きに没入していても,連れ合いの相談には冷静かつ親身に耳を傾け,ちょっとだけとぼけた答えを返す。給料の逆転には何のこだわりもない。
ある意味,理想の夫婦像。 - 百田尚樹「永遠の0(ゼロ)」★★★★★
- フリーライターの姉と弁護士を目指すも現在ニート中の弟。二人の祖母松乃の先夫である宮部久蔵は,太平洋戦争中の零戦パイロットであり,終戦間際に特攻により亡くなっていた。
戦争経験者の証言集出版を目指す姉は、手始めに祖父,祖母が一切語ろうとしない宮部の過去について、弟の手を借りて調査を始める。年老いた往年の戦闘機乗りたちが語る自分たちの戦争と壮絶な戦いの記憶。それらが積み重なるにつれ次第に形をなす宮部の驚くべき人物像は,祖父,祖母が背負ってきた悲しくも数奇な過去をも炙り出してゆく・・・。
この手の小説は感想の書きようがない。戦後世代の私が戦時中の出来事について何を書こうが吹けば飛ぶような言葉の羅列に終わってしまう。それより多くの方にこの本を強くお勧めしたい。何故なら一人でも多くの方とこの小説の感動を共有したいから。