「ALWAYS三丁目の夕日」を見ました。
まず突っ込みどころ。物語の背景として描かれる東京タワー。
(1)実際の東京タワーは港区芝の高台にあるが,映画の中では平地に建設されているかのように見える。
(2)映画の終盤,鈴木オート一家が大きな川の土手から夕日を眺めるシーン。方向からして川は荒川と思われるが,距離的に東京タワーが大きく見えすぎ。
細かくてスミマセン。東京育ちなもので。
それはさておき,
冒頭からもうだめでした。懐かしさがこみ上げて来て。東京タワーの完成は昭和33年,私は当時2歳。少しずれてはいますが映画の描写全てが記憶の中の原風景なのです。マジックアイの付いたラジオ,白黒テレビ,氷の木製冷蔵庫,オート三輪,駄菓子屋の店先,ホーロー挽きの看板,路地裏の子供達・・・
鈴木オート,茶川商店を中心に語られる各エピソードには泣かされるのですが,やはり時代背景や街の描写が胸に迫ってきました。戦争の影を引きずっていながらも高度成長期に突入し,今日より明日,今年より来年は世の中も自分達も絶対に良くなっている,と確信できた時代。東京タワーの建設やテレビが家にやってくるエピソードはその象徴でしょう。国全体が若く,希望にあふれて突っ走っていた時代でした。
この映画,年代によっても受け取り方がいろいろだと思いますが,少なくとも東京育ちで40代後半から上の人には懐かしく心に響くものがあるでしょう。物語の出来もさることながら,その時代の風景,雰囲気を忠実に,時にはオーバーに表現したことが興行的な成功につながっていると思います。良い映画でした。