その昔,日比谷にあった第一生命ホール。
体育館の舞台以外で,私が初めてステージに立った思い出のホールが,いつの間にか湾岸,晴海の「トリトンスクエア」に移転していました。
先日,職場のAさんから台東区民合唱団の演奏会チケットをもらいました。
「第一生命ホールでアルト歌いますから来てください」
日曜日だし,場所は勝手知ったる日比谷だし,行ってみるか・・・。思い込んだまま,今日,出掛けにパンフレットを見ると,最寄は都営地下鉄「勝どき駅」となっています。
慌てました。あれ,日比谷じゃないの? 「勝どき」って,どうやって行くんだ? トリトンクエアって何だ?
学生の時に入っていたギター部が,日比谷の旧第一生命ホールでコンサートを開いたことがあります。初舞台で緊張して何回も通ったトイレの,棺桶のように巨大な小便器が印象的でした。何といっても便器の上縁が頭の上にありましたから(三十数年間でイメージが膨らんだかもしれません)。
旧ホールのあった第一生命館は,本社社屋として昭和13年に日比谷のお濠端に建設され,戦後の一時期はGHQの総司令部として使用されましたが,平成元年にホールを閉鎖し外観を保ったまま改築されました。
時代は流れます。トリトンスクエアの新第一生命ホールは,2001年に完成したそれはきれいなホールでした。
現代的な美しいステージ上で,Aさんは(このホールの空気は,すべて私のものよ)とばかりに大きな口を開けて,気持ち良さそうに歌っていました。演目は,ブラームスの「ドイツ・レクイエム」。
私には子守唄に聞こえました。
・・・日比谷濠の水面を切って泳ぐ白いイルカ。背中に乗るのは少年マッカーサー。レイバンのサングラスを掛け,変なパイプを咥えている。「オレは戻ってくるぜ~,イェィ♪」
(なに言ってやがんだ,そりゃターミネーターの台詞だろう,ア~ン?)
そこで目が覚めました。ホールの外へ出て,勝どき駅に向かう道々。東京湾に繋がる運河を渡る橋から水面を見ると,たくさんのクラゲがフワフワと泳いでいました。
(ウム,オレの人生だ・・・)
ホールの歴史
(第一生命ホールのサイト)