拙宅では、一昨年の夏にリビングのテレビを新調しましてね。
その後しばらくしてふと気がつくと、55型の液晶テレビはドラマ好きな家人Bの専用劇場になっていました(汗)。
今さらチャンネル争いをする年でもないし、その気になればiPadでもテレビ番組は観られるので、筆者自身は何ら困っていないのですが、改めて考えてみるとテレビの視聴は以前に比べて格段に減っています。
今日は、そのへんの事情を考察してみましょう。
1.最近、筆者が観ているテレビ番組
自分から積極的に観るのは、
- チコちゃんに叱られる(NHK)
- ブラタモリ(NHK)
- 笑点(日テレ)
- 麒麟がくる(NHK)
なんとなく見るレベルでは、
- ザ!鉄腕!Dash!!(日テレ)
- (テーマ次第で…)マツコの知らない世界(TBS)
- (旅人次第で…)ぶらり途中下車の旅(日テレ)
- (ゲスト次第で…)鶴瓶の家族に乾杯(NHK)
- (スポーツコーナー主体で…)サンデーモーニング(TBS)
ニュース、天気予報を除くと、自分から進んで見たい番組って最近はとても少ないんです。
傾向としては、難しいことを考えずに見られるエンタテイメントがほとんどで、チコちゃんやブラタモリなんかは見て面白いし知的好奇心をくれるし、今どきは希少な番組ではないかと思います。
ちなみに「サンデーモーニング」も半分エンタメと割り切って見ておりますよ、はい。
2.テレビに向き合う時間が減っている個人的事情
家人Bがドラマに没入していると妙に気が休まるのはさて置いて(アワワ…)、なぜ進んでテレビを見ることが少なくなったのか、その理由を整理してみましょう。
- ドラマは昔から好きではないし、最近のバラエティやクイズ番組はレベルが低すぎ(同じようなお笑い芸人、バラドル(?)の使い回し。ドラマも同様)。
- ネット上のオモシロ動画やビックリ動画を集めて流す番組にいたっては、安直さや手抜きが鼻について白けてしまう(面白いは面白いんですがね)。
- ニュース以外の報道番組は、政治や行政に対して批判一方だったり、視聴率至上なのか偏った姿勢が気に入になる(できの悪いエンタメみたいな…)。
- 見続けると印象操作されたり、バイアスかけられそうな番組が多いと漏れ聞く(その手の風評自体が印象操作であり、製作側が憤慨しないのが不思議)。
- 昨今は、インターネットのコンテンツがほぼテレビの代替になっている。
大雑把に括ると、(1)クオリティの低さ、(2)偏った報道、(3)ネットコンテンツの充実・拡大が、個人的なテレビ離れの理由かと。
世間一般にも同じような感覚の人は多いのではないでしょうか。
3.ハードは進化したがソフト面はどうなのか
一方技術面を見ると、テレビのハードはこの50年で大きく様変わりしました。
真空管から半導体に、白黒からカラーに、ダイヤルからリモコンに、モノラルからステレオに、ブラウン管から液晶パネルに、果てはオーディオやネットとの連携も当たり前というように進化しています。
それに比べて番組作り、視聴者から見たソフト面はどうなんでしょうか。
あくまで個人の感覚ですが、昭和の後半から着々と進んだ家庭内の個人主義化とテレビの低価格化、今となっては言わずもがなのネットの一般化等々によってテレビを取り巻く環境が激変したにも関わらず、十年一日ほとんど進歩していないのではないように思います。
これを音楽のコンサートに例えてみましょう。
- すべての楽器がアコースティックから電子楽器になり客層とその嗜好もガラッと変わったのに、企画されたプログラムや演奏曲目は50年前とほぼ同じというモヤモヤしたコンサート。
- ホールの照明が落ち、演奏が始まると、(ン?)みたいな顔をして席を立つ客がちらほら。休憩時間に入り点灯した照明に浮かび上がるのは、もはや数えられるほどの人数しか座っていないガランとした客席だった。
- 後半、やけっぱちになってカラ回りする演奏でさらに客は減り、終演時のホールにはほんの数人の客しか残っていない有様。しかも、その数人も実はスマホに夢中で、演奏が終わったのに気付きもしていなかった。
・・・なんて、ちょっと言いすぎかも知れませんが、筆者がイメージする今のテレビ界ってそんなもんなんです。
4.昔は良かったとは言いたくないが
冒頭で「以前に比べて…」と書きました。
あくまで個人的にですが、その昔は毎週楽しみにして見たテレビ番組が結構たくさんありました。
- 原子力潜水艦シービュー号(NET~12ch、1964-1969)
- アウターリミッツ(NET、1964-1966)
- 宇宙家族ロビンソン(TBS、1966-1968)
- 裏番組をぶっとばせ!(日テレ、1969-1970)
- 8時だヨ!全員集合(TBS、1969-1985)
- ゲバゲバ90分!(日テレ、1970-1971)
- ロックフォードの事件メモ(テレ朝、1974-1980)
- ぴったしカンカン(TBS、1975-1986)
- 欽ちゃんのどこまでやるの!(NET、1976-1986)
- クイズダービー(TBS、1976-1992)
- アメリカンヒーロー(日テレ、1981-1983)
- 元気の出るテレビ(日テレ、1985-1996)
- 風雲!たけし城(TBS、1986-1989)
- 料理の鉄人(フジ、1993-1999)
- 世界ウルルン滞在期(TBS、1995-2007)
- 時効警察(テレ朝、2006-2007)
- プロレス中継(日テレ、テレ朝)
…どれも懐かしいですね。
番組が始まるのを楽しみに待つ、食い入るように画面を見る、思いっきり笑う、手に汗握る、時にはティッシュ握って号泣などという、今ではほとんど無くなった場面が当時のテレビの前ではよくありましたね(涙もろさだけは加速中だけど…)。
振り返ってみると当時のテレビ番組は、頭の良い人たちが作るパワーのある番組が多かったような気がします。海外ドラマも良質なものがたくさん放映されていました。
このあたりの感覚は筆者だけではないと思いますが、どうでしょうか。
5.ようやく見えてきた筆者の本音
時代が流れれば、世の中や人も変わります。
こうして記事を書いている筆者にしても齢を重ねるごとに環境や境遇が変化し、当然ながら次第に趣味嗜好も変わってきています。
「だから世間の最大公約数であるテレビ番組に興味が薄れたのでは?」
…という指摘は、半分は当たっているでしょう。
一方、真偽のほどは定かではありませんが、今の時代、製作側、特に放送作家さんなどは慢性的な人材不足なのだそうです。また、昔に比べてレベルが云々などという情報を目にすることもあります。
単純にそれだけでテレビ番組の総体的なクオリティが下がっている(言っちゃった…)、オホン、極論過ぎるので言い換えると、筆者のような中高年の男性層に受ける番組が減ったとは思えませんが、そのほかに…
今の世の中、テレビ番組に取って代わるローコストなコンテンツが溢れているという確たる現実がある中でテレビ界は、
- 視聴率が下がるとスポンサーから足元を見られ広告収入が減る
- 防衛策として購買力のある視聴者層に向けた番組作りに走る
- ドラマやバラエティのような若年層、女性層に受ける番組が多くなる
- 軽視された層の人々はテレビから徐々に離れ、視聴率はさらに暫減する
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…というようなスパイラルに陥っている。
お分かりですね。テレビ業界、負のスパイラルです。
6.まとめ
筆者は、テレビ業界や番組制作サイドから「軽視された」中高年層、成人男性層ではあります。でも、その昔の思い入れは心の奥に熾火のように残っていましてね。
だから現在のテレビ界が、前述のような芳しくないスパイラルに陥っているのをとても残念に思うし、難しい岐路に立たされているテレビというものに同情もしてしまう。
手に汗握ってテレビを見ていた当時の熱燗ほどの熱はすでに常温に冷めてしまったけど、オワコンなどと言われることなく、チコちゃんやブラタモのような番組がいろいろな事情を乗り越えて存続し、願わくば増殖し、これから先も良質なコンテンツを提供してくれることを願うのみです。
おしまい。