つい先月の初めまで蒸し暑いな〜と思っていたら急激に涼しくなり、それもつかの間、先週は都内でも雪が降るというジェットコースター的なこのところの陽気ですが、皆さんいかがお過ごしですか。
さて今月は2冊。読書量が減っているということは、すなわち通勤電車で座れることにほかならず、おまけに職場にも慣れて緊張感が減退し、つい爆睡してしまうのです(汗)。気持ちいいんだな〜、これが。
- 万城目学「鴨川ホルモー」★★☆☆☆
- ひとことで言えば、京都を舞台にした青春伝奇小説。大学生たちが裏の京都市街で「オニ」と呼ばれる式神を操り、過去から脈々と受け継がれて来た謎の戦いを繰り広げる。
我思うに、話は荒唐無稽であればあるほど、基盤となる理論と背景、言わば虚構の構築が肝要だ。本作は、そこらを軽く扱ったことで肝心のホルモーやオニの必然性が薄れてしまった。独特なタイトルも、勝負事がらみで「スモー(相撲)」に繋がるものと思いきや期待に応えるほどの深みは無く、青春小説としての熱や甘酸っぱさもいまいち。
読了できたことに1星、楠木ふみの凡ちゃんキャラが際立っていたので1星。都合星二つということで。 - 道尾秀介「ラットマン」★★★☆☆
- 思い違いは思わぬ結果を生む、というテーマのミステリー。この人の小説を4冊しか読んでなくて言うのもなんだが、話のモチーフに昆虫や貝類がよく出てくることもあり、どことなく不安を感じさせる暗さが共通している。色に例えればグレーか。
本書の主人公姫川も幼い頃の姉の死以来、心の奥底にどんよりした猜疑と不安を抱えて生きてきた。でもそれは、ある思い違いから始まったものと最後の数ページで作者は明かす。どうしようもなく暗い終局だ。