440か442か / 楽器の基準音について考える

筆者が参加しているギターサークルで、最近、チューニングの基準音がA(ラ、5弦の開放弦)=440Hzから442Hzに変更されました。

 

かつて調弦用ツールの主流だった二股の音叉と違って、最近の電子チューナーは1Hz刻みでピッチを変えられます。

条件反射的に対応してしまった一方、変更する理由やその効果がよく分からなかったし、そもそも基準音てなに?と疑問もあったので、今回は勉強の意味で関連する情報をネットから集めて整理してみました。

 

1.まずWikipedia先生に聞いてみる

 

オホン、基準音とは…………

  • 一般的な調律の際の音高(ピッチ)の標準である。A=440Hzとも表記する。
  • 1939年にロンドンで行われた万国規格統一協会(ISA)による国際会議でA=440Hzが採択された。この標準が1955年に国際標準化機構(ISO)にISO 16として採用され、現在440Hzは、音響器材の較正や楽器の調律の標準として用いられている。
  • A=440Hzが標準となる以前は、多くの国や団体で、オーストリア政府が1885年に勧告した435Hzを使用していた。これは1860年代からフランスの標準であったものでもある。
  • 現在、イギリスやアメリカ合衆国では、コンサートピッチとしてA=440Hzが広く使用されている。一方、大陸ヨーロッパでは440Hzから444Hzの間で幅がある。
  • 古楽の演奏では、A=440Hzとは異なる基準ピッチが用いられることが多く、現在、バロック音楽の演奏にあたっては、440Hzより半音低い415Hzが最も一般的に用いられている。

Wikipediaから引用(一部意訳)

 

…とのこと。

基準音は、歴史的、地理的、また音楽のジャンルなどいろいろな要素によって揺れ動いてきたようです。

 

 

 

2.音楽に縁の深いラジオ局では

 

  • オーケストラの場合、木管楽器オーボエの「ラ(=A)」が基準で、A=440Hzが一般的。
  • きらびやかで輝かしい音を求めて、少しピッチを上げたA=442~446Hzでチューニングする場合がある。
  • 有名なカラヤン時代のベルリンフィルは、446Hzでチューニングしていた。
  • 一方、吹奏楽ではトランペットやクラリネットなどのB♭管の楽器が多いので、Aより半音高いB♭(A=440Hzの半音上は約466Hz)でチューニングする。

ニッポン放送ONLINEから引用(一部意訳)

 

 

 

3.ピアノ調律の場合

 

  • ピアノの場合、基本的にはA=442Hzで合わせます。理由は、オーケストラなどでは442Hzが主流になっているからです。
  • A=440Hzと442Hzの違いを率直に申しましょう。「どちらでもいいと思う」これが正直な意見です。
  • A=440Hzと442Hzでどれだけピアノの音が変わるか。442Hzの方が、張力が高まるために響きが明るくなるように思いますが、個人的には殆ど変わらないと思います。

ピアノ調律.netのQ&Aから引用(一部意訳)

 

 

 

4.楽器メーカーYAMAHAの見解

 

  • Q:基準ピッチはいくつに合わせたら良いですか?
  • A:一般的に、管楽器などは442Hz、ギターは440Hzでチューニングする場合が多いです。ホールの環境やピアノ等の調律状況などもご確認ください。

YAMAHAの「よくあるお問い合わせ(Q&A)」より引用

 

 

 

5.A=440、442Hzを実音と演奏で聴き比べる

 

Youtubeに実際の演奏で聴き比べできる動画がありましたのでどうぞ。

あなたの耳が試されますw

 

確かに442Hzのほうが多少張りがあって明るく聴こえるような気はしますが…………ブラインドで聴いたらどこで切り替わったか全く分からないでしょう。

 

……筆者の耳は、そんな程度でした(笑)。

 

 

 

6.そもそもなぜ基準音はAなのか

 

ちなみに、楽器の基準音がドレミの「ド(C)」ではなく、なんとも中途半端な「ラ(A)」なのには諸説あるようですが、

 古代ギリシャで、当時の弦楽器(?)の一番低い音の弦、すなわち一番太くて長い弦の音をアルファベットの最初の文字である「A」と名付けた。
 それがいつの間にか基準の音ということになり、・・・現在に至る。

……という説が多く見受けられます。

 

真偽の程は別にして、ギター弾きとしては妙に納得できる説かと。

現代のギター界では一番低い6弦ではなく、二番目の5弦をAにしているのはなぜかという疑問は依然として残りますがね。

 

 

 

7.まとめ

 

ということで、楽器の基準音に関して以下のようにまとめられると思います。

  • 近年の標準として、A=440Hzを中心に上下半音程度の範囲の音(=415〜466Hz)が使われているが、一般には440又は442Hzが多い。
  • ギターの場合、A=440Hzが推奨されているようだがMustではなさそう。
  • A=440より442Hzでチューニングしたほうが、明るく華やかに聴こえるという説がある。
  • また、どちらでもいい、ほとんど変わらないという意見もある。

 

どうやら基準音とは、こうでなければ!というものではなく、さほど強くない拠り所としてISOの440Hzがあり、そこから人の感覚や音楽の捉え方などのモヤッとした中で揺れ動くもの…………と言えそうです。

 

音楽について話す時、一番いい話し方は黙っていることだ。

ロベルト・シューマン

 

音を楽しむと書いて音楽、Musicの語源はギリシャ神話の女神様。

神がかったものを楽しむのに言葉や理屈は野暮、ということかも知れませんw

 

 

最後に、筆者個人は……

 

若い頃に「A=440Hz」と教えられ最近まで実践してきましたが、不本意ながら2Hzの違いを聴き分けられないので、率直に言って440、442どちらでもいいです(汗)。

 

……以上、ご精読ありがとうございました。

 

 

 

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