四国八十八ヶ所札所巡り_第2回(所感編)

 前置き編、資料編で、言い訳のような前振りとデータを書き連ねたので、本編では巡礼2回目の感想を書きます。これが今回の締めです。

1.出発前の準備と葛藤
  • 登山やトレッキングからかなり遠ざかっていたし、この先も同じような装備で何度も出掛けることになるので、思い切ってザックと靴を新調した。
  • 基本的に初めての歩き巡礼であり、長丁場の遠出も久しぶりだったので、5日間の携行品にマジで悩む。
  • 結果として出発直前にようやくまとまった荷物一式。背負った38Lザックのデカさと重さに愕然とし、一気に不安のどん底に突き落とされる。
  • 反省としては、旅行の一般論と同じく荷物は少ないに越したことはない。一週間着替えなくても死にはしないのだ。
2.3列シートの夜行バス
  • 昨今のツアーバス事情に鑑み、激安物件を選択肢から外したことが吉と出て、夜行バスは眠れないというイメージは覆された。
  • 3列の独立シート、充分なリクライニング、カーテンの仕切りで、爆睡とまではいかないがそこそこ睡眠がとれた。
  • 信頼のおけるバス会社(今回は海部観光)と早めの予約が十分な休息、延いては順調な巡礼につながるという教訓。次回は、往復夜行バスもありかな、と思ったりする。
3.いよいよ歩き始める
  • 春の光と薫風、のどかな田園風景、遠くの山々、そして広大な吉野川。それらに包まれながら、自分の足で前に進めることの幸せを噛みしめつつ歩いた。
  • 同行二人。弘法大師が宿るとされる杖は持たなかったが、重い荷物を背負っても思ったとおりに歩けたのは、やはり背中を押されていたのかもしれない。
  • さすが日本で最もメジャーな巡礼コースだけに、全行程を通して平日にもかかわらず多くのお遍路さんと行き会った。もちろん、外国人も多い。
  • 正味4日間で、スマホ上の記録は98,331歩、約65km、66cm/step だった。
4.公共交通機関を適宜活用
  • 歩きが基本とは言え、巡礼には行程、時間、天候、体力などいろいろな要素が絡む。よって、自己ルールにも書いたとおり、JR、路線バス、タクシーを状況に応じて利用した。
  • 遍路ころがしと言われる十二番焼山寺の登りで、今回の行程中唯一タクシーを使ったが、自分の幸せを求めるばかりでなく地元貢献も広い意味で巡礼のうち、と考えて多少悔しい気持ちを紛らわすことにした。
5.歩き遍路の感想
  • 各寺には必ず「本堂」、「大師堂」などの表示があり、もちろんトイレや休憩用のベンチはキチンと整備、清掃され、どの寺でも気持ち良く参拝できた。
  • いわゆる遍路道には、道標や目印が良い具合に設置され、道中迷うことがない。加えて距離の表記には時に励まされ、時に落胆し、まさに巡礼の醍醐味を味わった。
  • 行き会う街の人たちは、こちらをお遍路さんと見ると多くの人が会釈してくれる。さすが巡礼の地、四国。それは逆に見られているということでもあり、失礼のないようにと身が引き締まる。
6.民宿の女将さん
  • 十二番焼山寺のアプローチとして泊まった神山町の民宿「明日香」の女将さん。予約の電話で感じたとおり、聡明かつ人の話をよく聴いてくれる方で、おまけに美形ときた。
  • 他に宿泊客も居なかったので、夕食、朝食ともに世間話をしながらコース検討に知恵を貸してくれたり、当方のつまらない愚痴にまでフンフンと付き合ってくださった。
  • 替わりにこちらは、神山町の現状、民宿経営の厳しさ、お子さん・お孫さん達の話を聴いて差し上げた。小二のお孫さんからは「バーバー」ではなく「バービー」と呼ばれているそうな。
  • そんなこんなで、お遍路さんに優しいと言われる四国を実感した。
7.神山温泉のヌルヌル
  • 山間の神山町には町営の温泉施設があり、ヌルヌルしたとても良い湯と施設の良さで繁盛している。私めも明るいうちから堪能させてもらった。
  • 自宅に帰ってから、その良さを家人Bに伝えようと、ヌルヌルの感触をキッチンハイターを引き合いに出して説明したところ、予想外にドン引きされ、自分の表現力の貧困に落胆した。
8.宿坊デビュー
  • 十三番大日寺の宿坊に一泊お世話になり、お菜にマグロの刺身が付いたこと、希望すればビールや酒が供されることなど、新鮮な驚きを味わった。
  • ほぼ同世代の男性一人旅の方々4人と同宿になり、巡礼コースや宿泊施設などの情報交換で盛り上がった。皆さん、お元気かつ健脚でいらっしゃる。
  • 疲れていたしビールを飲んだにもかかわらず、夜中に目が覚めてからほとんど眠れず、悶々として一夜を明かした。朝になってここが寺の境内であることを思い出し、何となく心に感じるものがあった。
9.十三番大日寺の住職と講話
  • 朝のお勤めに同席させていただき、荘厳な雰囲気の本堂で住職の法話を聴く。
  • 四国とは徳が高く愛が香る国々との枕から入り、ご自分の苦労話を織り交ぜながら「家族を大切に」、「感謝を忘れず」と優しく包むように語る住職。心が洗われるとはこのことかと思った。
  • 住職は、八十八寺で唯一の女性かつ韓国出身の方と聞き、ちょっとびっくり。初めての宿坊でこのような出会いがあろうとは、弘法大師の引き合わせと考えても良かろう。
10.人にとって「歩く」とは
  • 「身体の一部又は全部を使い、自らの意思と体力により空間を二次元的に移動すること」、と自分なりに定義してみる。
  • 人間の基本的行為である食事、睡眠、排泄に次ぐ重要なもの、と今回の巡礼で気付いた。
  • 寿命の尽きる時が歩けなくなる時、と肝に銘じて生きて行きたい。

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