( 今回も音楽の演奏に特化して話を進めます。)
前回(第1回)は、アマチュアの演奏会で、なぜJASRACにお金を納める必要があるのかという話でしたが、今回は、お金を納めなくていい場合について整理したいと思います(前回同様、素人につき法律解釈その他には正確を欠く部分があります。どうぞご了承ください)。
まず、前回のおさらいをしておきましょう。
著作権者が自身以外にその著作物の利用を許す場合、その許諾の対価として当該利用者がJASRACなどの仲介団体を通して著作権者に支払うのが利用料(許諾料)でした(ちなみにJASRACが設定している楽曲の利用料は、諸々の条件にもよりますがアマチュアの演奏会の場合で1曲1回あたり200~300円ほどです:使用料計算シミュレーション)。
つまり楽曲ないし創作者に著作権という”権利”があるからその利用料が発生するのであって、仮に著作権が消滅すれば利用料は発生しないことになります。著作権法(以下、「法」と略します)は、第51条でその存続期間について次のように規定しています。
「(法第51条抜粋)著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まり、著作者の死後50年を経過するまでの間、存続する」
これをソフトに解釈すると、著作者(作詞者、作曲者など)が創作した楽曲は、「死んでから50年経つまでは創った本人のものだけど、それ以降は公有財産として扱うよ」というところでしょうか。おおむね孫の代まで守ってくれていますから、個人的にはそこそこ手厚いのではないかと思います(保護される年数は国によって異なりますが、50~70年が多数を占めているようです:世界各国の著作権保護期間の一覧)。
また、法第30条~50条には、著作権が制限されるケースがいろいろ謳われていて、そのうちの第38条に 「営利を目的としない上演等」の項があり、学生やアマチュアのコンサートのような場合には、以下3つの要件の全てを満たしていれば、著作権者の許諾を得なくても当該楽曲を演奏することが出来るとされています。
- 営利を目的としないこと
- 聴衆から料金を受けないこと
- 演奏家に報酬が支払われないこと
以上をまとめると、法制度的には著作権者の死後50年未満の楽曲であっても、営利目的のコンサートではなく、かつ入場料を取らず出演料も支払われないことがAND条件でクリアされていれば、著作権者に許可を得なくても、言い換えれば代行機関のJASRACに利用料を納めずとも心置きなく演奏できる、という理屈になります。
ということで今回の我らがMGCコンサートの場合は、詳細は省きますが上記3の関係でプログラムのうち数曲について利用料を払うこととして今後手続きを進めます、というのが結論です。
それにしても、JASRACについては、音楽教室からも著作権料を徴収する方針を固めたことや一見厳し過ぎる取締まりなどで悪評が絶えませんね。
筆者は、その事情を詳しく理解しているわけではありませんが、国の法律を背景として仕事をしているのがJASRACであるなら、彼らが方法論の部分で批判を受けるのは致し方ないとしても、法律の曖昧な部分、現状に合わない部分に起因する問題や軋轢についてもJASRACに批判の矛先を向けるのは筋が違うだろう、法律を見直すべき部分もあるのではないかとこの記事を書きながら思いました。
どんな種類であれ、いい音楽はいい。
Good music is good no matter what kind of music it is.
by Miles Davis
さて、2か月後のコンサートに向けてこれから練習、本腰入れて頑張らなくちゃ(汗)。