自転車と道路交通法


現在,検討されている道路交通法の改正についてちょっと考えてみました。

自転車は道路交通法では軽車両として扱われています。従って法律的には車道を走らなければいけない乗り物です。車がビュンビュン走る幹線道路などでも原則的には同じです。ただし「自転車通行可」の標識があるところに限って「車道寄りを徐行で走る」,「歩行者の妨げになるときは一時停止する」ことを条件に歩道を走っても良いこととされています。

この辺,法律と実際の自転車の使われ方にはものすごいギャップがありますね。歩道でも平気でバンバン飛ばす人が多いし。(汗)

(写真は福岡空港にディスプレイされていた博多祇園山笠の「ヤマ」)


現在,道路交通法の改正が検討さるなかで,自転車が歩道を通行できる(させる)範囲を広げることが検討されています。具体的には下記のような場合です。
■児童(13歳未満)や幼児(6歳未満)が運転する場合
■車道を通行することが危険な場合

車道は危ないので自転車はなるべく歩道を走ってください,その方が事故も減るし,ということですね。この法律を所管している警察庁のホームページで1月28日までパブリックコメントが募集されていました。その説明には「自転車専用道はほとんどないし,車道にも自転車が走るところがないんだから仕方がないでしょ」という意味の表現が見られました。ほとんど開き直りです。

この改正案にたくさんの自転車愛好家から反対意見が挙げられました。車道を走っている時に警察官に「ここは危険だから」と歩道を走ることを強制される,法律改正の延長線上には自転車の車道通行禁止が見え隠れしている,など猜疑の声が多いようです。

私もこの法律改正には反対です。改正案は車×自転車の事故を減らすには効果があるかもしれませんが,歩道での自転車×自転車,自転車×歩行者の事故を増やすことになりますし,第一,自転車で走る楽しみを奪う可能性があるからです。

自転車はそのスピードや構造からして車とは相容れない乗り物です。物理的にも絶対弱いです。そうかと言って歩行者といっしょに歩道を走ることにも無理があります。現に歩道を歩いていると自転車を脅威に感じることがよくありますし,最近,身の周りで自転車とぶつかって怪我をした話も聞きました。日本の道路には車道,歩道の二つの区分しかないところに法律上中途半端に扱われている自転車がバンバン走っている,というところが問題があるのです。

さて,ではどうしたらよいのでしょう。下記のような条件の中で考えてみました。
■警察庁は交通事故は減らしたい。でも自転車のために道路を広げるお金と権限を持っていない。
■自転車は車道では車に邪魔にされ,歩道では歩行者に脅威を与えている。
■道路を造ったり改造したりする権限は国土交通省が持っている。
■無駄な高速道路は造らない方がよい,という声がある。

警察庁は自分の権限で出来る交通法規の改正をするだけでなく,国土交通省とタイアップして自転車や歩行者が危険な目に合わなくて済む道路造りに力を貸すべきです。事故防止のノウハウ,どんな場所や状況で事故が多いのか,道路の構造をどうすれば事故が減らせるのか,という情報を一番多く持っているのですから。そして国土交通省は道路行政のなかで自転車の位置付けをはっきりさせ,C02を出さない省エネルギー的な乗り物「自転車」をもっと大切に扱う方向に転換すれば良いのです。具体的には道路を整備する際には歩道,車道にプラスして必ず「自転車道」または「自転車レーン」を検討していただきたい。

私の考え方は生ぬるいかもしれませんが,道路などの社会基盤整備は所詮,百年の計で推し進める事業です。日本で明治時代に自転車が使われ始めてから約100年。自転車が車の脅威にさらされず,歩行者にも脅威を与えずに気持ちよく走れる道路を造るのに同じくらいの時間がかかるのは仕方がありません。

それまでの間は人も車も自転車もひたすら思いやりしかないでしょう。自転車で歩道を走っている時に歩行者が邪魔だからといってベルで蹴散らすようなことをしてはいけません。「すみませェ~ん,ちょっと通してくださぁ~い」と声を掛けるとか,それが照れくさければ「ゴホン!,ゴホゴホ・・・」と咳払いするとか。私はそちらの口ですけど。(笑)

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