今日のお題は、なぜか映画音楽。
映画を観るのは嫌いではないけど、人混みの中での座席確保が億劫で、映画館に足を運ぶことはあまりありません。
とはいえ、あの大きなスクリーンと、そしてお腹から身体に響いてくるようなPA音響には、家のテレビやパソコンにはない別次元の雰囲気と魅力がありますよね。
その昔、1970年代頃までは、「The Voice of the Theatre」と称された米国ALTEC社のAシリーズがほとんどの映画館のPAを担っていたそうです。
中でも、あの有名な A7 にぁ、若い頃憧れたもんです。とてもじゃないが普通の家に置ける代物じゃありませんでしたがね(遠い目…)。
閑話休題
そんなわけで、かつてスクリーン裏のA7で聴いたのではないか、だから強く印象に残ったのではないか?という筆者の好きな映画音楽を集めてみました(無理矢理ですな…)。
米国、1973年制作、マイク・ニコルズ監督、ジョージ・C・スコットほか
原題は「The Day of the Dolphin」。拍子抜けするくらいそのまんまの邦題です。
明るい海の色と聡明なイルカ達がテーマ曲にとてもよく合って、記憶に残る映画でした。
随所で流れるこのテーマ。イルカの純粋さを象徴するようなハープシコードの澄んだ音色が、悲しい別れの場面の涙を誘いました。
弱いんです、こういうの。
米国、1995年制作、テリー・ギリアム監督、ブルース・ウィリスほか
筆者の好きな時間もののSFに人の記憶が絡む複雑なストーリーでした。
危険なウイルスが重要なファクターになっていて、現在の世情に重ね合わせて観ることもできます。
このテーマ曲は、ピアソラの「プンタ・デル・エステ組曲」のアレンジ(抜粋?)とのことです。
バンドネオンの微妙に揺れる音色が、映画の全編に漂う不穏な空気やけっして明るくない近未来の雰囲気にマッチしていました。
あぁ、そんなラストってありか〜
往年のSFマニアは、湿った手でシートの肘掛けを握りしめるのだった。
西ドイツ、1987年制作、パーシー・アドロン監督、マリアンネ・ゼーゲブレヒトほか
今回取り上げた中で唯一見ていない映画です。
なんと言ってもジュヴェッタ・スティールの歌う「コーリング・ユー」が魅力的でした。
観ないで言うのはとても気が引けますが、この映画は「コーリング・ユー」を抜きにしては語れないでしょう。
「あなたを呼んでいるのよ♪、聴こえるでしょ?」
砂漠の埃っぽい風、変化のない日常、退廃の中の諦め、そしてバクダッド・カフェの住人たちが突然現れたジャスミンに見出した一筋の希望。
それらを象徴するかのような、ある意味爛れた美しさの漂うテーマ、歌声ではないかと思います。
さて、映画を観たあと、そんな印象、先入観はどう変わるのでしょうか。