この16日(月)敬老の日は、ネットで見かけて(おぉ、これは!)と膝を打ったトークショーに行ってきました。
1.タイトル&テーマ
CHERUBIM × FUJIFILM SPECIAL TALK
「自転車とカメラの素敵な関係」
2.開催日・会場
2019(令和元)年9月16日(月)14:00~15:30
「富士フイルムイメージングプラザ」千代田区丸の内
3.登壇した人
(ゲスト)今野真一氏:CHERUBIMブランドの自転車ビルダー
(ゲスト)石井正則氏:俳優、七代目自転車名人&カメラマニア
(進行係)上野 隆 氏:富士フイルム(株)光学・電子映像事業部 営業グループ 統括マネージャー
4.筆者が今回、興味を持った理由
- 自転車とカメラ、両方とも若い頃から好きで馴染んできた
- かつてCHERUBIMのフレームでツーリング車を自作し、30年以上乗っていた
- 復古調を地で行くFUJIFILM Xシリーズのファンであり、最近X-T30を手に入れた
5.内容と雰囲気
自転車製作者、俳優、カメラメーカー社員の3人が、自転車とカメラの関係性と共通点、面白さ、こだわりなどを三者三様の立場から熱く、時にはクールに語る1.5H。
なにしろ立場は違えど自転車&カメラ好きな登壇者達が、同じ嗜好の60人ほどのオーディエンスを前にして、両者の「素敵な関係性」について語るのだから時間が足りるわけはない。
かなり時間オーバーしてお開きとなった会場には、熱を帯びた場の空気の余韻に浸る人が大勢残っていた。
6.印象に残ったキーワード
- 自転車好きはカメラ好き
- 逆もまた真なりで、この傾向はかなり普遍性があるのではないかという点において登壇者とオーディエンスの認識は一致した。筆者もまた納得できた。
- 自転車製作者の今野氏は、FUJIFILMのX100Fを愛用し、俳優の石井氏は、8×10の大判カメラを操るフィルム派かつ自転車活用推進研究会から七代自転車名人に選定されるほど自転車を深く生活に取り入れ、富士フイルムの上野氏は、オーダーしたCHERUBIM SLXに乗るときには、コンパクトなXF10が最高と語る。
- これで筆者の嗜好が決して特殊なものではないことが裏付けられ、トークを聴きながらニヤニヤした。同時に今まで密かに抱いていたわずかな優越感が大したものではないことを思い知らされ、少しさびしく思ったのも事実ではある。
- 自転車とカメラの共通点
まず、上野氏の説として5点。
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- 自分の力で何かを成す
- 素材で楽しめる
- 使いこなして初めて楽しい
- デザインがとても重要
- スペックには表れない性能がある
トークの中でさらに以下の3点が付け加えられた。
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- 時間との関係性
- モノとしての魅力
- 実はハードルの高い趣味
筆者としては、「自分の力で・・・」、「スペックには・・・」、「モノとしての・・・」の3点に、これが一番と思っている「いじる楽しさ!!」をぜひ付け加えたい。あれこれいじれるところに楽しさを感じるのは、男の子の性(さが)だと思う。
- FUJIFILMのカメラは・・・
- カメラの作り手である上野氏が抜群の滑舌で語った「FUJIは、デジカメでも手作り感を大切にしている」、「数値にできない性能にこだわる」という言葉には、正直言ってシビれた。
- 筆者が人生最後の(と思っている)カメラにFUJIFILM製品を選んだ理由が、奇しくも製作サイドから語られたのである。マニア冥利に尽きるとは、このことだと思った。
- 自転車に最適なのは、軽い、小さい、高性能なカメラ
- 何をいまさら的なこの上野氏のコメントだが、経験的な事実であるだけに大いに共感できた。「小さい」を「身体に合った」に置き換えれば、自転車の必要条件にもなる。
- 話は飛躍するが、昨今オラオラ顔のデカい車が増えたり、「あおり運転」などという下劣な行為が頻繁に話題に上ったりするが、自動車自体とその受益者も、「シンプル」「必要なものだけ」「身の丈を知る」「足るを知る」「他者との共存」といった発想、言い換えれば自転車的な考え方を身に付ける必要があると思うのは筆者だけだろうか。
- まあそうは言っても、自転車界にしても電動アシスト車の普及からオラオラ的な方向に向かわなければいいが、という取り越し苦労もあったりするのだが。
- 自転車の色やデザインは、人の気持ちや感情を奮い立たせる
- 今野氏が、「プロレーサーから派手さやきらびやかさを求められたことがあり、それらは勝負師として自分を奮い立たせ、他者を圧倒するために必要な要素であり、彼らならではのニーズでもあることが分かった(意訳)」と仰っていた。
- すごく納得できたし、そういう目で世の中の色使いやデザインを俯瞰すると違うものが見えてくるような気がした。
- 自転車フレームの主流は、今やカーボンとアルミ
- いわゆる「クロモリ」に代表される鉄合金製のパイプが今でもフレーム材の主流とばかり思っていた筆者は、この一言が結構堪えた。
- 新素材の台頭は、あくまで競技レベルやハイエンドユーザーにおける傾向だとは思うが、クロモリを得意とする今野氏も特に否定はしていなかったので、それが現実なのだろう。
- 日進月歩、光陰矢の如し、老いては子に従え、・・・そんな言葉が胸の中を去来した。
7.まとめ
言いたいことは、キーワードのところでほぼ言い尽くしたので簡単に。
今回のトークショーでは、今野氏の真摯な姿勢と温かい人柄、石井氏の元気な声とこだわり精神、上野氏のまとめ上手に感心すること頻りでした。
そして、学生時代に縁あって自転車とカメラに出会い、山や谷はあっても今まで付き合ってきて本当に良かったと思えた休日の楽しいひと時でした。