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ギターの神様Vol.11_筆者の芸風_凡人です

 去る2016年10月29日、チュニジア出身の作曲家、編曲家、教育者であり、私がA.セゴビア、山下和仁と並んで敬愛していたフランスのギタリスト、ローラン・ディアンス氏が亡くなりました。
 ベースとするクラシックの枠に囚わることなくジャズやラテン、民族音楽などの要素を取り入れた作風と卓越したテクニックで、他の追従を許さない孤高の音楽家とも言べき存在でした。61歳とはあまりにも早すぎ残念でなりません。
 謹んでご冥福をお祈りします。

 

シリーズ11回目。
 実は今でも時々、自分がギターを弾く人間なのが不思議に思えることがありましてね。

 元はといえば高専に入学した年に、音楽や楽器とは縁もゆかりもなかった筆者が、ほんの気まぐれで練習を覗きに行って、そのまま成り行きで入部した「古典ギター研究部」が事始めでした。

 

 以来、苦楽併せて45年間、今日に至るまで飽きることなく、むしろ楽しく弾き続けているわけです。

 もちろん、自慢できるような上手な弾き手ではありませんので、他人様に聴かせることは端から念頭にありません。でも、少なくともギターを弾くことが人生の楽しみの一つ、かつ人格を構成する大きな要素になっているのは間違えありません。

 

 

 さて、長い間にはいろいろな作曲家や楽曲との出会いがありました。当然ながら年齢とともに、また年数の経過とともに好きな作曲家、向き合う楽曲も変わって来ています。

 本日は、その変遷をYoutubeの動画を使って超簡単に紹介しますので、お付き合いください。

 

まず学生時代。

 何と言ってもJ.S.バッハ、H.ヴィラ・ロボス、それにS.L.ヴァイス(実はメキシコのピアニストであるM.ポンセがヴァイスの名で書いた偽作が多い)の曲を好んで弾きました。

 当然、Youtubeなどない時代ですから、先輩や友達からLPレコードなどを借りて、カセットに録音して、気に入った曲の楽譜を探すというということを繰り返しました。輸入楽譜では当時、渋谷にあったギタルラ社にはずいぶん通ったものです。

【凡例】 作曲者: ”曲名” by 演奏者

H.Villa-Lobos: ”Etude No.3” by Lovro Peretić

 この曲は、イエペスのレコードで知り、初心者3年目くらいで弾いていました。ご覧のようにロボスの12の練習曲集のうちこれはスラーの練習曲で、だんだん指が動くようになって、面白くて仕方がない時期ですね。今では楽譜を見ただけで指が攣ります(汗)。

 

 

Weiss – Ponce: ”Preludio in E Major” by Andres Segovia

 セゴビアのレコードで初めて聴き、バッハと同じバロック期の曲とは思えないカッコよさを感じて夢中になって弾きました。それもそのはず、200年後のメキシコ人の作と知ったのは随分後でした。ポンセ氏は、セゴビアの依頼でたくさんの偽作を書いけど、可哀想にあまり収入にはならなかったらしいですね。

 

 

J.S.Bach: ”Lute Suite #2 Gigue” by Vladimir Gorbach

 バッハのリュート組曲!。クラシックGを弾く者なら誰もが憧れ、そしてその多くが挫折する(と思いたい)あれです。繊細で奥深く大胆で広大な大海原のようなバッハ。あの「シャコンヌ」をいつかは自分のものにと願い続けて数十年。現実は、いくつかの小品の上辺をたどたどしくなぞって時間切れになりそうです(大汗)。

 

 

時代は一気に平成に飛びます。

 今となっては、技術、気力、視力とも年齢とともに衰えましたので、あまり難しい曲には手を出しません。テクニック的に弾ける範囲で、自分的に弾いて楽しく、気持ちの良い曲だけを追い求めるようになりました。

悟りを開いた、と言っていただいても結構です(笑)。

佐藤弘和: ”Tomorrow Song” by Daria Semikina

 青森県出身の佐藤さんは、優しさの上に郷愁を感じさせるたくさんのオリジナル曲で独自の世界感を築いている作曲家兼演奏者です。「シンプルソング」、「ベービーズソングズ・シリーズ」などなど、弾き易さも抜群なので私は大好きです。現在は闘病中とのこと、一日も早く回復されますようお祈りします。

 

 

A.Montes: ”Preludio de Adios” by Tavi Jinariu

 ベネズエラのA.モンテスは、I.キルヒャーとデュオを組んで演奏する傍ら、南米の香り漂うオリジナル曲をたくさん書いています。「別れの前奏曲」とでも訳すべきこの曲は、ギターの特性を生かした運指と重厚な和音の響きがギター人を惹きつけるのだと思います。最近楽譜を手に入れ、今一番たくさん練習している曲です。

 

 

木村弓: ”いつも何度でも” by Jeremy Choi(also arrangement)

 J.チョイ氏は、たぶん韓国の方だと思いますが、ご自分のオリジナル曲をYoutubeにアップしつつ、その楽譜をネット上で大胆に公開(Free!)している、素晴らしい才能と将来性を持ったギタリストです。ラブソングのような「At the Door」も大好きで、やはり最近よく弾いています。

 

 

 以上に紹介した作曲家、編曲者、演奏者、それに楽曲も含めて私にとっては神様も同然。
 今までにずいぶんたくさんの神様と出会って来ましたが、これから先もどんな神様に出会えるのでしょうね。楽しみで仕方がありません。

 

 

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