一昨日、母が入院しました。昨年秋の心臓疾患に続いて今度は呼吸器系の異常。今年86歳ですからまったく何が起こるかわかりません。
で、病院の話です。
今回、母が入院したのは縁あって本郷の東京大学医学部付属病院。
若い医師たちが本当に良く診てくれます。医療法に努力義務が謳われたインフォームド・コンセントと言ってしまえばそれまでですが、患者と家族に病状、これから行おうとする医療行為を正しく伝えるための説明努力には頭が下がります。
昨日の経過説明は肺の疾患に関するプレゼンと言っても良いくらいでした。病院としての機能もまた素晴らしく、受付から診察、入院、検査まで待ち時間はほとんどありません。内部設備もひとつの街と言ってもよいくらい充実しています。美容院は言うに及ばず郵便局、タリーズコーヒーまであるのですよ。
一方で今、父が持病で通っている虎ノ門の龍医院はその対極にあります。
こちらも偶然の縁から知った医療保険適用外のこじんまりとした個人病院で、医師は院長(父)、副院長(息子)の二人だけ。
その医療は一風変わっていて、初診時の院長先生のコメントがこれでした。
「大丈夫、私に任せなさい。楽にしてあげます!」
あとは問診があって聴診器と触診で全身を見て、散薬を処方してくれただけでした。薬の種類や何に効く薬なのかは一切説明がありません。父も私もそのときは開いた口が塞がりませんでした。
要するに第一印象としてとてもあやしい(失礼!)。
でも結果的に院長の言葉に嘘はありませんでした。40年以上悩まされていた発作的なめまいが薬を飲み始めてからピタリと止まったのです。父も最初は「あれこれ試して半世紀近く直らなかったものが中身の分からん薬で治るのかなぁ~」と半信半疑でしたが、今では龍医院を完全に信頼し切っています。
さて、どちらの医療が良いとかいう次元の話ではなく・・・。
感じるのは世の中にはいろいろな形の医療があるということです。時代の最先端を行く医療があれば、古き良き時代からの伝統を感じさせる医療もある。
肝心なのは、人それぞれに抱える具合の悪いところや治したい病気に合った病院や医師、治療法にめぐり合えるかどうかではないかと。これは「運の良し悪し」、「縁の有無」と言えるのかもしれません。
そういう意味で私は今、ラッキーだったと思っています。何といっても当の本人達が、いま受けている医療に満足しているのですから。