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昔は兵舎,今は美術館

 写真は,先日行った国立新美術館のエントランスホールに置いてあった旧陸軍歩兵第三連隊兵舎の模型。終戦後は,1962年から2001年まで東京大学の生産技術研究所として使われ,同研究所が目黒区駒場に移転した後,この建物を取り壊して新美術館が建てられました。


 

 実は,この建物には,その昔,二十歳の頃に一度だけ入ったことがあります。研究助手の募集に応募して,採用面接を受けに行った時でした。

 狭い部屋に通され,4~5人のおじさん達(教授連だったのでしょう)に囲まれて「志望動機は?」,「将来の夢は?」などともっともらしい質問を浴びせられましたが,アルバイトのようなものだったこともあり,それほど力が入らず,真剣な受け答えはしなかったように記憶しています。

 結局,採用側の思惑には当然,当てはまらず,不採用になりましたが,この模型を見て,その時,建物に感じた仰々しくて,暗くて,陰気臭い印象と,ちょっとだけアカデミックな世界に憧れを持った,当時の気持ちを思い出しました。建物の一部はリニューアル後,新美術館の正面に別館として残されています。

 玄関前に整列しているのは,旧陸軍の兵士でしょう。昭和11年の二・二六事件で,反乱部隊の兵士数百人が出動して行ったというこの建物。そんな昭和史ゆかりの歴史的建造物だったとは,恥ずかしながら今まで知りませんでしたが,偶然出会った模型のお陰で,今更ながら勉強できたというお粗末でした。

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