Categories: 雑記本/書評

4コマのショートストーリー|スロウではない風味の

伊坂幸太郎さんの短編集「逆ソクラテス」が好きです。


(集英社のサイトからお借りしました)

 

中でも特に「スロウではない」が好きなのだけど、理由はうまく説明できないので省略するとして、主人公である小学5年生の司と友達の悠太が時折始めるある「ごっこ遊び」があります。

きょうは、それを真似てショートストーリーを書いてみます。

なお、本稿は実在の個人、団体、企業などとは一切関係ありません。

 

 

Beginning

 

「ある物件が暗礁に乗り上げています」

「金が絡んでいるのか」

「それもあると思います」

「無いものねだりは無しだとマネージャーに伝えろ」

「偉い人の前で啖呵を切る勇気はありせん」

「フム……彼らは優秀か」

「そう信じています」

「では」

「はい」

「沙汰のあるまで気長に待て」

 

 

Development

 

「例の仕事がまったく進まずイライラしています」

「問題はどこにある」

「風呂敷の広げ過ぎです」

「お花畑から戻って来いとひな壇の連中に言え」

「外様の私に出番はありません」

「不満は溜めるな。判断が鈍る」

「酒を飲んで気分を変えています」

「お気に入りは何だ」

「最近は白ワインです」

「赤にしろ。ポリフェノールで血圧が下がる」

 

 

Turn

 

「ようやく物件が前に進み始めました」

「辛抱した甲斐があったな」

「思っていたのとは違う方向ですが」

「気に入らないのか」

「ゴールポストを動かすのは違うと思います」

「事業の理念はどこにある」

「個人にあっても組織には無いようです」

「経営者はどうだ」

「あたふたしているように感じます」

「なぜそうなる」

「プロではないからです」

「フム……では」

「はい」

「消せ」

 

 

Resolution

 

「転職を考えています」

「居づらいのか」

「いいえ経営者が、もとい、仕事が片付きました」

「儂に遠慮はするな、去るものは追わん」

「代わりが問題です」

「そこは儂の領分だ」

「前から楽をしていただきたいと思っていました」

「殊勝なことを」

「多くの人を救って来られました」

「頼られればな。世の中理不尽なことが多過ぎる」

「辞め時は自分では決めづらいものです」

「何を言いたい」

「あとは私に任せて窓の外をご覧ください」

「……」

「良い旅を、ドン・ヴィトー・コルレオーネ」

 

 

おしまい

 

 

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