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秋雨前線が抜けた朝|自衛隊と濡れ落ち葉の掃除に共通するもの

通勤時、駅まで歩く途中にとある自衛隊の施設がある。

 

雨上がりの朝、その前を通りかかると制服姿の女性自衛官が路上の濡れ落ち葉を一人黙々と掃除していた。

すれ違いざまに目が合う。

軽く「おはようございます」と挨拶すると同じように返してくださった。

 

そこから少し歩くと、目にゴミが入ったわけでもないのにジワっと涙が出て来て「アレ?」と思った。

なんだこれは。

 

 

しばらくして分かった。何か大切なものが頭を過ったようだ。

これは、朝っぱらから自衛隊もしくは自衛隊員に出会ったからとも言えるし、そうでないとも言える。

 

一方は、有事に際して身体を張り自らを犠牲にする覚悟で国と国民を守り助ける自律した組織。

もう一方は、他人がやらないこと、面倒くさがること、嫌がること、でも皆のためになることを黙ってする自衛官もしくは一個人。

 

 

筆者は考えた。

両者に共通するのは、自分以外の人や物事に寄せる思いではないか。

自分のことは必要最低限にして、他人のためになる行動を優先するポリシーと気概。

 

それを強力なアンプで増幅してフィルターにかけると、残るのは自己犠牲の精神てやつかもしれない。

 

濡れ落ち葉を掃除する人とすれ違った刹那に頭を過ったのは、そのようなことだと思った。

 

 

自衛隊っぽいものに価値を感じるなんてヤバくない?といった考えを筆者は否定はしない。

また、その女性だって役割でやっていただけじゃないか、という冷めた見方もあるだろう。

 

この世の中は、多種多様な意見が入り乱れる中で常に右に左に揺れながら前に、時には後ろに進む。

自分の価値観の対極で気に食わない意見でも、社会のバランスを保つためには尊重すべきだ。

 

でも今朝は、無意識に涙目になるような何かが筆者の中に残っていたことが、少しだけ誇らしかった。

嬉しくなって歩きながらにやけた。

にやけながら駅へ急ぐ変なおっさん、もとい前期高齢者。

 

秋雨前線が通り抜けた朝。

雨上がりの青空が眩しかった。

 

おしまい

 

 

 

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