今週末のコンサートに向けてこの一年準備してきたわけだが、ここに来て時節柄の乾燥と低温で右手の爪が悲鳴をあげている。
本題の前に少々余談にお付き合い願いたい。
UnsplashのAnna Keibaloが撮影した写真
ご承知のようにギターは左手で押弦(押さえる)、右手で撥弦(はじく)する楽器で、一般に左手の爪は短かくてよいが右手の爪は特にクラシックGの場合、音の源と言ってもおかしくないほど大事なものだ。
その長さや形、削り方が奏法、音色、強弱のすべてに影響するため極めてデリケートなケアが求められる。
ちなみに筆者の場合、生まれつき爪が薄くて柔らかい。
親から受け継いだDNAは受け入れるしかないが、ラッキーにもがさつくことのない澄んだ音が出せるという大きなメリットに恵まれた。
一方で摩擦や衝撃には非常に弱く、おまけに傷つきやすく割れやすいというギタリストにとってはなかなか厄介な爪なのだ。
具体的には低音側の巻弦(4,5,6弦)を弾くと摩擦で先端が削れてザラザラになったり、楽譜のフォルテ部で力を入れ過ぎると割れたりする。
ことほど左様に、厄介界隈では責任なき消極財産なのだ(←意味不明)。
そんな爪エピソードをメンバーに話すと「エ~、考えられない」と人の気持ちも知らず目をむく人がいたりして、素性の良い爪を持つ人々には嫉妬ムンムンだが、とにかくギター業界では爪は命、強い爪は正義なのだ。
話を戻そう。今回はp,i,m,aのうちm(中指)が特に傷んできた。
使い慣れたアロンαと液体プラスチック(Bondic)でその都度補修しているが、アロンαは柔軟性に欠けすぐにひび割れるし、液体プラスチックは水に弱く剥がれやすい。だから1月上旬からほぼ毎日、爪保護のため薄手のゴム手袋を着けている。
UnsplashのCarlos Urrutiaが撮影した写真
つまりコンサート前なのに練習したくてもたいして出来ないのである。
ゴム手袋のせいもあるが、無理して弾けば補修が剥がれてしまうかもしれないし、最悪の場合爪先が欠けて音が出せなくなるという無限地獄も予想され、怖くて練習どころではないのだ。
そんな状態がすでに1月上旬から3週間。本番まであと6日。そう、半端ないストレスと共に過ごす1か月なのである。
そして話は飛ぶが、時期を同じくして口角炎がここ1か月治らない。大きく口を開けると口角が裂けて痛いあれだ。
原因を調べてみるとビタミンや鉄分などの栄養不足もあるが、ストレスからくる場合もあるらしい。
ストレスが身体の免疫力の低下を招き、免疫力が低下すると体内に潜んでいたカンジタ菌がイキリだして口角炎を発症。そんな因果関係のようだが、筆者の今の状況とぴったり符合している。素晴らしい。
……ぜんぜん素晴らしくない。口角は痛いし爪も心も折れそうだ。
一日も早くコンサートを終え、客の退いたステージの上で、右手の爪を、愛用の爪切りで、思いっきり切る。そして缶ビールをプシュ。
これが目下のゴールだ!
諦めるわけにはいかないから目の前に人参だってぶら下げる。
話が長くなりました。応援よろしくお願いします。