眩しい夏が終わってしまうのが惜しくて仕方がないのが18歳
蒸し暑い夏に熱中症で死にたくて仕方がないのが81歳
(笑点風に……)
多くの日本人にとって夏は特別な季節なのだと思います。
夏休み、お盆、帰省、祭り、花火、スイカ、トウモロコシ、宿題、高校野球、終戦記念日、広島・長崎、日航機事故……
夏を代表するキーワードに、誰しも思い出の一つや二つはあるでしょう。
今年もそんな季節が終わろうとしています。
それにしてもこの頃、夏がメチャクチャ暑い。
最高気温35度、36度なんて子供のころには考えられませんでした。
せいぜい31、2度だった頃、今日は暑くてドリルなんかできない……と宿題を先延ばしに延ばし、始業式前夜に半ベソで親兄弟を総動員するのは当時の小学生アルアル…………
はい、わたしですけど何か?
今の小学生が大人になったとき、いったいどんな夏を思い出すのでしょう。
まあ、60年前の小学生には分かるはずもありませんがね笑
2度目なのであらすじは省略。
普通の元宅配ドライバー青柳雅春が、大きくて怖いものに追われることとなり、ひたすら逃げまくる話だ。
伊坂氏の小説には、意味が分かるようで分からない名言のようなものが時たま出てくる。
人間最大の武器は習慣と信頼。
本作ではこれ。
私の場合、規則正しい生活を心がけるくらいのことは頭にあるが、確固たる習慣と胸を張れるようなものはない。
信頼する人はいるが、信頼される人間でないことには胸を張れる。
青柳雅春は、信頼する人に助けられながら逃げ、長年抜けない習慣から最後の最後で大切な人に認めてもらえる。
伊坂氏の名言は、最後に分かってジンとくる。
彼/彼女らの人生は重なり、つながる。 隠された“因果律(めぐりあわせ)”の鍵を握るのは、一体誰なのか──
遺影専門の写真館「鏡影館」がある街を舞台にした、朝日新聞連載の「口笛鳥」を含む長編小説。読み進めるごとに出来事の〈意味〉が反転しながらつながっていき、数十年の歳月が流れていく──。
ある街と、その街の写真館をモチーフに、3本の短編とエピローグで構成される本書。
最初に描かれるのは、心の中をマクロレンズで覗いたような繊細な思い出話だ。
それが編を追うごとにどんどん画角が広がり、ときには反転して裏から眺めたりしてようやく全体が見えた頃に3編を読了する。
これを新聞小説で読んだらどんな思いだろう。せっかちな私には耐えられない。
エピローグまでをキーワードで表せば、西取川・鮎漁・護岸工事・嘘・ウミホタル…………あたりになろうが、思い浮かんだのは「バラフライイフェクト」という小説中にはない言葉だった。
風神の手の上で転がされているのが人間。当の人間には目先のことしか見えない。
作者は、そんなことを言いたかったのではないか。