先月の書評では、枕としてウクライナ情勢への懸念を書いていました。
その後の1か月で良い方向、具体的にはロシアとの協議がうまく整って少なくとも停戦に持ち込まれることを期待しましたが、残念ながらロシアの無差別とも言える攻撃は現在もなお続いています。
個人的な人類への信頼がますます薄くなっています。
身近でも人間への信頼が揺らぐ事態が待っているかもしれないのに……
それはさておき、
世の中は桜の季節、東京の今年の桜は、開花してから寒かったり雨降りしているので保ちは良いような気がしています。
でも桜は桜。今年も見られました。
来年も見たい、もっと明るい気持ちできれいな花を見たい。
大きなところでは戦争とその波及という大きな負の出来事、小さな……本当に小さなところでは転職先への不安。
来年の今頃は、晴れ晴れした気持ちで桜を見上げていますように。
さて、この3月は転職に関係する諸々やお遍路結願などで落ち着かない1か月でした。
だから何?
はい、1冊しか読まなかった言い訳です(笑)。
岬の先端に建つ喫茶店を一人で切り盛りしながら、何かを待ち続けるおばあさん。その喫茶店を訪れる、心に傷を抱えた人々。彼らの人生は、喫茶店での一期一会によって、変化し始める。
映画にもなったベストセラー小説。
読み始めは、白血病、虹、冒険などの陳腐な(失礼!)キーワードを繰り出されて、(こりゃ、途中棄権かぁ)と思ったが、次第に引き込まれて最後まで読んだ。
頭の中では、喫茶店のおばあさんのアバターである吉永小百合が最初から最後までお客さんをもてなしていた。それがすべてだったような気もするけど、6つの各編に登場する皆が皆、吉永小百合の入れるコーヒーに癒やされ次第に自分を取り戻す。
心和む良い小説だった。