Categories: 雑記身体/健康

漢方の六君子湯は薬効と食欲増進ばかりか健康長寿の希望の星だった

5年前、左耳の難聴に漢方薬を試した話を書きました。

そのときは、たまたま見つけた都内文京区の小石川三好漢方薬局さんがとても親身になってくださり、症状に合わせて調剤された数種類の煎じ薬をしばらくの間服用しました。

 

わずかに改善の気配は見えたものの目立った効果は発現せず、正直なところ、結果的にそれ以来、自分の中で漢方はディスコンに近くなっていました。

 

 

そんな折、今回はいったんスタートラインに戻る意味で、改めて漢方を取り上げてみたいと思います。

テーマは最近常備薬になっている「六君子湯」。筆者にはとてもよく効く胃薬です。

 

1.六君子湯とは何か

     

 

 

2.六君子湯との出会い

 

  • しからばプロに頼るべし!と考え、地元の開業医院に相談したところ、「加齢による内蔵機能の低下」との診立があった。そして六君子湯を勧められた。
  • 筆者としては、前述の難聴以前から「漢方は効き目が緩く遅い」との先入観があったので、それをイケメン内科医のK医師にぶつけたところ、「騙されたと思ってどうぞお試しを」と一刀両断にされ、それ以来10年近い付き合いになっている。

 

  • 効き目は漢方らしく穏やか、かつ食欲増進効果もあるとのことで、「外食に行く前に服用する人もいるほどです」との申し添えもあった。
  • 考えてみればK医師には、長いこと両親のケアでお世話になっていた。そんな中で付き添いの筆者の様子を横目で見て、漢方的視点で体質も見抜いておられたのだろう。その慧眼と処方には感謝しているし、今でも医師として尊敬している。

 

 

3.名前の由来と成分

  • 主薬(※)である6種の生薬を6人の君子に見立て、「六君子湯」と名付けられた。
  • 公表されている主成分(ツムラ、小林製薬とも同じ)
      • ※人参2.0g(にんじん:オタネニンジンという薬草。野菜の人参とは別もの)
      • ※蒼朮2.0g(そうじゅつ:ホソバオケラと呼ばれる多年草。根茎は虫除に使われた)
      • ※茯苓2.0g(ぶくりょう:マツホドと呼ばれるサルノコシカケ科の菌類の一種)
      • ※半夏2.0g(はんげ:カラスビシャクの塊茎を乾燥したもの。別名ヘソクリ)
      • ※陳皮1.0g(ちんぴ:ウンシュウミカンの果皮を乾燥させたもの。七味唐辛子にも使われる)
      • ※甘草0.5g(かんぞう:マメ科の多年草。根を乾燥させて生薬にする。甘味料にもなる)
      • 大棗1.0g(たいそう:ナツメの実を乾燥させたもの。)
      • 生姜0.25g(しょうきょう:乾燥させたショウガの根茎。生薬に使われるのはいわゆるヒネショウガ)

 

 

 

4.公表される効能と個人的な効果

(1) 効能

    • 胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃もたれ、胃痛、嘔吐など
    • 体力が中程度以下の「虚証(きょしょう)」の人の胃腸薬として処方される。
    • 虚証とは、体力がなく弱々しい感じの人を指す漢方用語。反対語は実証(体力があり血色良くガッチリした人のこと)。

 

(2) 個人的な効果(プラス面)

    • 食後の膨満感や胃もたれにとても好く効く。
    • 服用後、効果が持続している最中は、胃部にスッキリ感がある。
    • 時折夜中に起こる激しい胃痛(たいがいは食べ過ぎ)の対策として、なくてはならない。
    • 食前に服用すると食欲が増すような気がする(これは両刃の剣だ)。

 

(3) 個人的な効果(マイナス面)

    • 薬は薬なので、頼りすぎて手放せなくなる懸念がある。
    • やはり薬であることから、飲んで3日は献血できない(詳細には、献血会場の医師に確認してみようと思っている)。

 

 

4.入手方法とコスト

(1) 病院の処方

    • 診察+28日分の処方:84包/2,970円(税込)
    • 筆者のかかりつけクリニックと薬局での例です。初診料、診察費用、薬局の経費などが含まれますので、処方してもらう量が少なければ、当然ながら1包の単価は上がります。

 

(2) ドラッグストア

    • ツムラ漢方六君子湯エキス顆粒(43番):10包/1,609円(税込)
    • 小林製薬の漢方処方「ギャクリア」:10包/1,362円(税込)
    • 価格は、Amazonで調べました。執筆時点の一例とご了解ください。

 

1包に換算すると概ね4倍前後のコスト差があります。

時間に余裕があれば、診察してもらって3割負担で済む「病院処方」の方が断然お得です。

 

 

 

5気になる情報

本稿を書くために確認したWikipediaの当該ページで、気になる情報を発見しました。

六君子湯をマウスに投与したところ、生体を構成する細胞をストレスから保護する遺伝子が活性化され、投与しなかったマウスより長生きしたことから、人の健康寿命を延ばす効果が期待されているそうです。

 

漢方薬「六君子湯」で健康寿命が伸びるかかも? マウス実験で長生き確認

 胃炎や胃もたれの治療に使われる漢方薬「六君子湯」の薬効解明を進めている鹿児島大の乾明夫教授(心身内科学)らのチームは、早く老化する特徴がある3種類のマウスに六君子湯を与えたところ、与えないマウスより長生きしたとの実験結果を発表した。

 結果の解析から、六君子湯には胃から分泌されるホルモン「グレリン」の作用を強める働きがあり、それによって、細胞を各種のストレスから保護する遺伝子「サーチュイン」が活性化され、長生きにつながることが分かったという。乾教授は「人でも確認できれば、健康寿命を延ばすのに役立ちそうだ」と話している。

2016.3.16 産経ニュースより抜粋

 

六君子湯によるグレリンシグナル増強はSirtuin 1活性化により加齢モデルの寿命を延長する

 ホルモンであるグレリンがマウスの実験において血管疾患などの老化関連疾患に対して保護する役割を持つことが今週のMolecular Psychiatryで発表された。著者のグレリンプロジェクト代表・鹿児島大学教授乾明夫、および共著者の株式会社ツムラ、自治医科大学教授矢田俊彦らは、日本の伝統薬、六君子湯の処置が内因性グレリンを増加させ、老化促進マウスの寿命を延長させたことを見出した。

 著者らは、2種の遺伝的老化促進マウス(オス)と通常の老化マウスを用いてグレリンシグナリングの影響を検討した。また、六君子湯およびatractylodin (ターゲット臓器でグレリン作用を刺激する六君子湯の成分)の処置は、全ての3つの老化モデル(各群9-11匹)において寿命を延長することを明らかにした。六君子湯の投与実験では、18-20匹の老化マウスにおいてグレリンの増加が心臓病理変化および記憶の固定を改善した。

2016.2.12 自治医科大学2015年度研究情報より抜粋

 

おいおい本当か?って感じですね。

研究が進み、人の細胞でストレス軽減の効果が確認できれば、健康長寿への期待が膨らみ、ツムラと小林製薬の株価が上がり、市場から六君子湯が姿を消し、コロナ禍のマスク並みに転売ヤーが暗躍し、焦った政府は六君子湯を無償配布へ、・・・そんな事態も起るかと妙な想像が膨らみました(そこか!)。

 

 

 

6まとめ

以上、六君子湯の全容を洗い出してみました。

筆者としては、この漢方薬とは長い付き合いになると思っていまして、そのためには相手をよく知る必要があると感じて本稿を書き始めました。

 

六君子湯のまとめです(あくまで個人の見解)。

  1. 漢方薬らしからぬ即効性
  2. 医師の処方、ドラッグストアのどちらでも手に入る利便性
  3. 食欲増進効果があり、継続的な服用も可という安心感

 

そんな親しみやすい薬である一方、健康寿命を伸ばす効果も期待される希望の星ということもあり、その効果と合わせ今回改めて「漢方侮りがたし」の気持ちを新たにしました。

東洋医学、西洋医学にかかわらず、自分の身体に合った薬や施術と出会えるのは幸せなことですね。

 

 

7参考にしたサイト

 

 

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