筆者にとって晩酌は大切な生活習慣で、休肝日を潔しとしないポリシーはここ数十年間揺らいだことがありません。
…………ここで いきなり蛇足です。
筆者の場合、γ-GTP、尿酸値、血圧、コレステロール等々の指標は、同じく数十年間ほぼ正常値の範囲内でしてね。自己弁護と訪問者諸氏のモヤモヤ解消のため、あらかじめこっそりとご報告しておきます(大汗)。
……で、タイトルの話に戻りますと、ここ1〜2年は日々の晩酌に缶酎ハイを愛飲していました。
それをこのたびは思うところあって、以前定番にしていた缶ビールの類(発泡酒、新ジャンルを含む。以下同じ)に戻しましてね。
缶酎ハイの方が1本単価が安いしアルコール(以下、Alcと略します)度数も高いからいいじゃん……、ビールより味や香りのバリエーションも多いし……、との声も聴こえる中でなぜ敢えて日々のデフォルトを缶ビールに戻したのか。
今回はその理由や周辺事情を、Alc飲料に対する筆者の考え方を織り交ぜて整理しながら、「缶酎ハイ」というものの正体に迫ってみたいと思います。
缶入りのAlc飲料を比較してみた。条件は以下による。
種別 | 内容量 [ml] | Alc度数 [%] | 値段 [税抜円] | You値 [ml/100円] |
缶ビール (一番搾り) | 350 | 5.0 | 198 | 8.8 |
発泡酒缶 (淡麗極上(生)) | 350 | 5.5 | 138 | 13.9 |
新ジャンル缶 (麦とホップ) | 350 | 5.0 | 115 | 15.2 |
缶酎ハイ(タカラ辛口チューハイ) | 350 | 7.0 | 98 | 25.0 |
缶酎ハイ(STRONG ZERO) | 350 | 9.0 | 108 | 29.2 |
こうしてみると缶酎ハイのYou値の高さは、頭ひとつ抜けているのが分かる。
また、正統派の缶ビールがいかに割高な飲み物かも見え、逆に割高と分かっていても何かにつけて飲みたくなるビールの魅力が再認識できる。
参考としてその他のポピュラーな酒類も比較してみる。ワインは、ご承知のようにピンキリなので除外した。
種別 | 内容量 [ml] | Alc度数 [%] | 値段 [税抜円] | You値 [ml/100円] |
乙類焼酎(黒霧島紙パック) | 1800 | 25.0 | 1680 | 26.8 |
ウイスキー(ホワイトホース瓶) | 700 | 40.0 | 972 | 28.8 |
日本酒(菊正宗ピン辛口紙パック) | 2000 | 14〜15 | 998 | 29.1 |
甲類焼酎(キンミヤ紙パック) | 1800 | 25.0 | 1350 | 33.3 |
甲類焼酎(極上宝焼酎紙パック) | 1800 | 25.0 | 1238 | 36.3 |
こちらでも甲類焼酎が最もYou値が高く、そもそも焼酎は安く手っ取り早く酔える酒であることがわかる。これを原材料に使った缶酎ハイも推して知るべしだ。
ついでに缶飲料としてのメリットも挙げておく。
つまり缶酎ハイは、早い、安い、旨いの三拍子そろった、とてもよくできた庶民派のAlc飲料と言うことができる。
その一方、缶酎ハイには、筆者の知る範囲でAlc.度数3〜12%のものがあり、最近は「ストロング系」と呼ばれる9%のものが主流だ。つまり客観的には、4〜6%が主流の缶ビールに比べて2倍程度Alcが強い缶飲料なのである。
その前提で、続いて缶酎ハイの暗黒面を見てみよう。
ネットニュースから集めてみた。
各々読んでいただければ分かるが、特にストロング系酎ハイに関して厳しい意見が多い。中には、クオリティ面で「味の付いたエチルアルコール」と言い切る専門家もいる。
押し並べて論調としては、現実にAlc依存症を増やす要因となっているので、自制的な飲み方の啓蒙と併せて税制などを含めた抜本的な見直しが必要、とまとめられるだろう。
延々書きましたが、このたびの筆者の方針転換は、上記6、7の暗黒面を背景として、「酒」とは良い関係で長く付き合いたいという気持ちと願いが具体化したと言えるでしょう。
缶ビール、と言うよりもAlc飲料全般の健康面への影響は、晩酌の種類を替えることとは別に考えないといけないですね。意識低いのもいい加減にしなきゃいけない年齢だし。
本稿を書きながら見たネットニュースの中で、「酒は、酒らしい味であるべき」という意見を見かけました。大いに賛成です。
また、それを書いた方は、ストロング系酎ハイについて「危険ドラッグとしての規制」とも書かれていました。
極論ではあるけど、一方で現在の「缶酎ハイ」というものの一側面を表していると思います。
でも、飲兵衛としては、好きなものが危険物呼ばわりされるのを看過するのは忍びない。
忍びなくはあるが決して飲み物自体が悪いわけではなく、それを手にする人間の側に落ち度があるのです。
頭の良い人が考えれば、また知恵を出して工夫すればいろいろな策はあるでしょう(例えば容量の少ない缶で販売するとか)。
缶酎ハイの作り手、売り手、飲み手それぞれの立場で、より良い付き合い方ができる酒として育てていければいいな〜と思う昨今・・・、ということでまとめとします。
おしまい