Categories: 本/書評

最近読んだ本_2017/05

5月は、分厚い本が続いたので1冊だけ。
今読んでいる新撰組絡みの上下2巻ものは来月回しになります。やはり歴史ものは、苦手分野ですな。

有川浩「空の中」★★★★☆
著者の代表作である「自衛隊三部作」の第二作。国産初の超音速旅客機が、試験飛行中に超高度空域で突如爆発炎上。次いで自衛隊機も犠牲に。
 そこには人類発祥以前から地球に棲む知的だが圧倒的な破壊力を持つ巨大生物「白鯨」が居た。偶然出会ってしまった両者は、互いの生き残りを賭けて懸命にコミュニケーションを取り共存策を模索する。
 一方、自由意志を持つ白鯨の破片を偶然拾った中学生斉木瞬と幼馴染の佳江は、それを「フェイク」と名付けて大切に育てるが、白鯨を巡る人間側の懲りないドロドロに次第に巻き込まれ、大人の思惑に中で辛い思いをすることに・・・。
若者の心理、恋愛感情そして老人の懐深さ等々を絡めることで、また著者のルーツである高知弁を取り入れることで、未知の生物と人類の遭遇というベタなストーリーを、単なるSFに終わらせることなく心情豊かな人間ドラマに仕立てている。
 初期作品のせいか中だるみ感が若干あるので1星マイナスとしたが、自ら言うところの「大人向けのライトノベル」に留まることなく立派に大人の読書にも耐えうる「小説」になっていると筆者は思うのである。
 キャラクター的には、真っ直ぐに瞬を思う佳江と超シャイな女性パイロット武田光稀(みき)、それに何と言っても朴訥な宮じい・・・、皆んないい。
hideandseek

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