Categories: 本/書評

最近読んだ本_2017/02

 思い起せば先月の書評は、かなり手抜きでした。そうかといって手をかければ気の利いた文章が書けるわけでもありませんがそれはそれ。
 無理して難しい本を読むことはない、と改めて気づいたので今月はエンターテイメント路線に戻って2.5冊。とりあえず、読み終えた2冊分だけ掲載します。

 

米澤穂信「インシテミル」 ★★☆☆☆
法外な時給の求人広告に吊られてとある地下施設に集まった12人の男女。主催者によって巧妙に設けられたルールに縛られながらも、巨額の報酬にありつくため各々の思惑で7日間を無事に過ごそうとするが、それぞれの個室に置かれた武器と主催者からの手紙に身も心もかき乱され、徐々に猜疑と恐怖の渦に巻き込まれて行く。
 無傷で期限を迎えて報酬を得るのは誰か。それを阻止しようとするのは。そもそもこの突飛な求人の目的とは・・・
その筋の名作12本のモチーフを一本に詰め込んでまとめ上げた本作は、推理小説好きにとってはたまらない作品だとは思うが、特別な思いのない筆者には単なる分厚い文庫本に過ぎなかった。よって、まとめはいたって簡単。
これは筆者にとっては退屈な一冊だが、推理小説フリークにとっては偉大な娯楽である。byニール・アームスットコドッコイ
原田マハ「キネマの神様」★★★★★+★
巨大シネマコンプレックスの創設を企画し事業のけん引役を務めてきた円山歩。会社の思惑を逸脱して突き進んだことから閑職に追いやられ、止む無く傷心のまま退職し、マンションの管理人を務める父親郷の仕事を手伝うことになった。
 歩と同じく無類の映画好きである郷だったが、元来ギャンブル狂いで借金癖があり、長年の行状に業を煮やした歩と母親は、この時とばかりに二人して郷の更生計画をスタートする。そんな一家の前に突如として現れた「キネマの神様」。3人家族は、暖かく見守ってくれる周囲の人々とともに神様の庇護のもとで大いなる奇跡を経験することとなる。
起承転結の中でさざ波のように押し寄せて来るピークは次第に大きさを増し、エンディングで迎えるは言うまでもなく見事な大団円。気が付けばスクリーンには、静かなエンドロールが・・・
 古今の名作映画と昔ながらの名画座をモチーフに描かれた、まさに映画のような素敵な小説である。途中何度も涙したがそれは気持ちの良い涙だった(すみません、気持ち悪くて)。しばらくマハにハマるとするか。
hideandseek

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