皆さんお元気ですか。暑中お見舞い申し上げます。
まだしばらくの間、月1桁代の投稿が続くと思いますが、たまに思い出して見に来ていただけたら嬉しいです。
- 奥田英朗「真夜中のマーチ」★★★★☆
- ヨコケン、ミタゾウ、クロチェの若者3人が、インチキ画商、都会派ヤクザ、中国マフィアと10億円の現ナマを奪い合う。軽快なテンポで展開するストーリーと明快なキャラクター設定。すごく面白くて、すっかりこの作家のファンになりました。何といっても明快な日本語が分かりやすい。
- 奥田英朗「東京物語」★★★☆☆
- 岐阜から東京に出てきて70~80年代に青春時代を送った作者自身のほろ苦い成長譚。BGMは「キャンディーズ解散」、「江川卓空白の一日」、「ジョン・レノン暗殺」、「北の湖引退」、「ベルリンの壁崩壊」・・・。ウム、懐かしい。
- 野沢尚「破線のマリス」★★☆☆☆
- テレビ報道の内幕を舞台とするミステリーで第43回江戸川乱歩賞受賞作。ホニャララ受賞作とかペケペケ大賞のコピーには弱い方だが、当然のことながら当たり外れや好き好きはある。救いようのない展開と暗闇に落ちてゆくような結末はちょいと辛かった。
- 浅田次郎「あやしうらめしあなかなし」★★★★☆
- 小説職人による大衆のための怪談集。怖さを求めれば期待は外れるが、読後の充足感はこの上ない。この人の書く文章はどうしてこうも美しいのだろう。戦争と現代の繁栄を交錯させた「遠別離」が秀逸。
- 米澤穂信「ボトルネック」★★☆☆☆
- 自分だけが存在していなかったパラレルワールドに迷い込んだ主人公リョウ。そこで彼が知るのは皮肉にも自分自身の存在意義だった。帯には「プロが認めたこの実力を見よ!!」とあり、あっと言わせてくれる展開を期待したが、以外にもサラッと読了してしまい拍子抜け。私にはもったいない実力なのだろう。
- 奥田英朗「インザプール」★★★★☆
- 奥田英朗「空中ブランコ」★★★★☆
- 絶好調の伊良部シリーズ。とにかく面白くて一気に2冊読み、3冊目を買いに走った。
- 小学生がそのまま大きくなって白衣を着ているような精神科医 伊良部一郎。マザコンで注射フェチのメタボ医師は、切迫した症状や深刻な悩みを抱えてやって来る患者を「いらっしゃ~い」と場違いな挨拶で迎える。傍らには、くわえタバコでフランクフルトのような注射器を構える仏頂面のミニスカ看護婦が・・・。なんだ?、ここはコスプレ喫茶か?
- 強烈なキャラクターを創り出したものである。
- 常軌を逸した問診とカウンセリングに患者は伊良部の正気を疑うが、奇想天外、支離滅裂な診断と、時には犯罪まがいの治療もどきに巻き込まれるうちにふと気がつくと肩の力、無駄な緊張、変なこだわり、くだらない見栄、つまらない猜疑心、いやらしい妬みなどなどが完治・・・、とはいかないが少し軽くなり日常生活に光を見出す。ひょっとして彼は名医なのか?
- これってストーリー上の患者が求めていたものではあるけど、リアルな我々が常日頃求めているものでもある、ような気がする。