後半に入って主人公が新興宗教団体に潜入してからは展開が読めてしまって逆に緊迫感が無くなりますが,前半の展開はおもしろかったですね。この作家,全体に人物描写が上手いんだけど,殺人集団から逃げる主人公を助けた先生と車椅子の少女は特に良いです。ストーリーを膨らませています。2人を終盤まで絡ませたらもっと良かったかな。
主人公のことを書くとネタ割れになりますが,少しとぼけた面があって好きですね。先日,紹介した「テロリストのパラソル」の島村とも共通するところがあります。それとストーリーには直接関係ありませんが,警察での取調べの場面が結構怖かったです。現実の取調べってこうだろうな,と思わせられました。