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佐々木マキの絵本


子供が小さいときに買い与えた絵本はもうほとんど処分してしまいましたが,大人の目で見て印象深い何冊かは残してあって,特に佐々木マキの「ぶたのたね」という作品は今でもたまに取り出して眺めることがあります。

佐々木マキは現在,イラストレーター,絵本作家として活躍していますが,もともとは伝説の漫画雑誌「ガロ」でデビューした漫画家で,専門的なことはよく解りませんが絵画的なイラストに特徴があり,古くから村上春樹の本の表紙カバーを描いたり,共著作品(羊男というキャラクターが出てくる)などがあったりと,幅広い仕事をしています。

今日は佐々木マキの絵本を何冊か,独断の「オトナ度評価」(オトナが読んで楽しめるかどうかを10点満点で採点)を付けながら紹介したいと思います。


「ぶたのたね」(豚の種)
走るのが遅くていつも豚に逃げられてばかりいるドジなオオカミ,キツネ博士に貰った豚が生る木の種を蒔いてみた。たわわに実った豚の木を見て舌なめずりするオオカミだったが,何故かその日はゾウのマラソン大会で,地面がグラグラと揺れた拍子に豚の実は落ちて走って逃げてしまう。1匹だけ逃げ遅れた豚を丸焼きにして食べようとしたが,熾した火で尻尾を火傷し,おまけに豚にも逃げられてしまう,というナンセンスもの。【オトナ度:9】



「とりどりのとり」
さとり(悟り),あまやどり(雨宿り),ひとり(独り),おんどとり(音頭取り),あなどり(侮り),ぼんおどり(盆踊り),くまどり(隈取り)などなど,とり(鳥)の駄洒落オンパレードで笑わせる。さて取りは?
鴨らしき鳥が侍の振り下ろす刃をパクリ・・・,しんけんしらはとり(真剣白刃取り)という落ち。【オトナ度:8】



「みがけなんぎなたんけんたい」(磨け,難儀な探検隊)
コケタン,ナイタン,ワレタン,ヤメタン,4人の探検隊が砂漠で遭難しかけたところへガムタンという不思議な子供が水道の蛇口を持って現れる。ガムタンは4人に水をあげる代わりに歯磨きすることを約束させ,その後も難儀な目に遭う探検隊を助けるのであった。
ガムタンの持っている蛇口は,ただの岩からでもピラミッドからでも水を出すことが出来るハイテク蛇口。子供に楽しく歯磨きを教えるための一冊。【オトナ度:3】



「ねむいねむいねずみとなきむしぼうや」(眠い眠いネズミと泣き虫坊や)
風呂敷包みを背負い,お母さんを捜して旅するねずみのシリーズもの。
ハゲ鷹の巣に餌として連れ込まれたねむいねむいねずみは,泣き止まない雛たちをマーブルチョコレートで黙らせる。親ハゲ鷹は礼としてねむいねむいねずみを背中に乗せて,川を下る船まで運んでやった。
眠い目をして母を夢見ながら飄々と旅を続けるねずみ,はたしてお母さんに会うことは出来るのか。【オトナ度:6】



「まじょのすいぞくかん」(魔女の水族館)
女の子と犬が森の中で見付けた怪しげな水族館には”ブタフグモドキ”,”チョウチンクマアンコウ”など変な魚ばかりが飼育されている。「助けて・・・」の声に水槽の水を抜いてみると元の豚や熊に戻って逃げて行くが,女の子と犬が水族館を造った魔女に捕まりそうになるのを見て助けに戻ってくる。魔女は仕返しを狙って今もホウキに乗って地球を回っている,というストーリー性のある一冊。【オトナ度:7】



「やっぱりおおかみ」
この世に1匹だけ生き残ったオオカミが仲間を捜してウサギ,ヒツジ,ブタ達の街をさまよい歩く。夜になりウシ一家の暖かい団らんを窓から覗き込むオオカミ。歩き疲れて墓場で寝込み,ほかに同類はいないと諦めたオオカミは自分は自分らしく生きるしかないと悟る。
主役のオオカミが黒い陰だけで描かれたニヒルな作品。【オトナ度:10】


こう見ると佐々木マキの絵本は決して子供だけのために描かれたものばかりではないことが分かります。図書館に行けば絵本のコーナーには必ずこの人の作品がありますから一度ご覧になってはいかがでしょうか。「ぶたのたね」の続編,「また ぶたのたね」も発刊されています。

hideandseek

View Comments

  • -さん
    アドバイスをいただきありがとうございます。
    今のところはエントリーをUPすること自体が楽しみで,たまたま興味を持って見ていただけたら儲けもの,ありがとうございます,といったところです。もちろん,お勧めいただいた件に興味がないわけではありませんが,アクセス数がもっと伸びてからでも遅くはないと思っています。

  • 私も童話や絵本大好きです。。
    今も気に入った絵本があれば自分用に購入していますよぉ!
    『なんぎなたんけんたい』は子ども達が幼稚園のころ、よく読み聞かせをしていました。
    結構。。大人も楽しめますよねっ。。(*^^)v

  • >>結構。。大人も楽しめますよねっ。。
    私もそう思います。
    このエントリーを書くために何冊か佐々木マキの絵本を読みましたが,
    その中には”子供向け”を意識しないで創っていると感じられるものもありました。
    本屋の店頭では絵本というと子供のコーナーにしか置いてありませんけど,
    ”大人向け絵本”の一画が有っても良いんじゃないか,などと思っています。
    その方が立ち読みもし易いし・・・(^_^;)

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