世の中は、3月後半から今まで新型コロナ一色でしたね。
…でしたね・・・
過去形?
そうなんです。4月7日に出された緊急事態宣言が、この5月25日に全面解除されました。
◆ 内閣官房 / 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の概要
今週の東京は、街中の店舗が少しずつ営業を開始して、人出も徐々に増えてきているようです。
しばらくして第2波が来て、波が引いて、また第3波が来て、だんだんと波が収束して、いつの日か新しい日常に落ち着くとは思います。さらに治療薬や予防ワクチンが登場すれば、より早くより安定した状況を創ることができるでしょう。
でも、ウイルスが消滅することは、恐らくありません。だから筆者は怖い。
その時の日本が、世界が迎えているであろう状況がどんなものなのか。そこに辿り着くまでにどんな影響を被り、どんな困難を乗り越えなければならないのか、誰も知らないし分からない・・・
・・・とは言っても取り越し苦労はよろしくないですね。今日一日、「厚生労働省 / 新しい生活様式.pdf」を意識して動くことにします。憶えきらんけど(汗)。
さて、読書は5月も低調。2冊でした。
阪堺電車の車両177号を軸に据えた連作小説。
新型だった昭和8年から引退する平成24年まで、時代とともに177号に関わる乗務員、乗客、沿線の人々の暮らしや心の機微、電車をめぐるほのぼのとした事件が描かれる。
大阪と堺市を繋ぐ鉄道なので阪堺電車。地元では「チン電」とも呼ばれるそうな。基本1輌での運行だし路面区間があったりするので、東京における都電の立ち位置と見た。
連作らしく、登場人物が時代ごとに交錯したり、戦時中の伏線が平成に入って回収されたりして楽しく読める。
でもやはり、阪堺電車に馴染みのあるなしで感想の変わる小説だろう。私は見たこともないし、むしろ存在自体を初めて知ったので、思い入れは今ひとつ。「で?」の感じだった。
昔から持っている古い手帳にメモってあった本だ。かつて書店で手に取ったこともあったが、読みにくそうなので諦めていた。
解説によると舞台は第二次大戦下のハンガリー。侵攻してきたドイツ軍の支配下にある片田舎の街に、都会の大きな町から双子の兄弟が疎開のため祖母の家にやって来る。
本書は、彼らが日々書き綴った日記の体裁で話が進む。先入観とは違って、意外に読みやすくて拍子抜けした。
この小説は、手帳に書き留めた当時、話題になった記憶がある。確かにインパクトは充分だ。
実際に読んでみると、双子と彼らの祖母、近所の女の子やその母、そして取り巻く人々が、現在のボーダーに当てはめたとき実に異様に描かれている。
双子に至っては、幼さ、優しさ、丁寧な口調の裏に逞しさとしたたかさ、特異な順応性、冷酷かつ残虐とも言える心と行動力を秘め、さながらサイコパスと言ってもおかしくない人物像なのだ。
人間の狂気や怖さを描いたといえばそれまでだが、時制を戦時下に置いたことに意味を見出そうにも私の読解力、理解力ではたどり着けない小説だった。