2017年2月に1ベイのNAS(Network Attached Strage)を自宅に導入して、主にiMacのバックアップと音楽データのストレージとして使ってきましたが、2年半使う中で非力さがかなり鼻についてきまして、このたび他メーカー2ベイの上位機を購入しました。
本日は、両者を比べながら使ってみての感想や感じるところなどを書いてみます。
ちなみに、最初に買ったのがQnapの入門クラス、今回はSynologyの中級クラス。
素人が、メーカーもグレードも違うNASを比べて粗い意見を述べるのはとっても僭越ですが、ブランドとして両者の選択に迷っている方には、少しは参考になるかもしれません。
配線ボックスに収めた新旧NAS。
上段の黒い箱がSynology DS218+(新)
下段の白い箱がQnap TS-128(旧)
1.NASの初導入から今までの経緯
NAS導入のモチベーション、初号機、今回の買い替えを整理してみます。
- きっかけは、iMacのTimeMachineによるバックアップ先としてUSB接続のHDDを考えたのが始まり。
- 家電量販店でその存在を教えてもらい、上記のバックアップに加えて、Web経由で外部からアクセス出来る便利さとアプリケーションによる拡張性に、単体のHDDにはない魅力を感じ導入を決めた。
- ブランドは、NASを主力として実績のある台湾のメーカー、SynologyとQnapの2社に絞り、最終的にC/Pで勝る(ような気がした)Qnapを選択した。
- とは言っても、セッティングや運用にはまるで自信がなかったので、お試し的にローコストな1ベイの入門機を購入して、それなりに役に立つの~、などと思いながら最近まで使ってきた。
- ようやくNASの何たるか、その便利さ、有用性等々が分かって来た2年目前後から、その入門機のあまりの非力に後悔が積もり始め、プライベート面の課題収束を機に思い切ってSynologyの中級機を導入した。
2.まず最初のNAS入門機を語りたい
- 機種
- Qnap TS-128
- HDD 1ベイ(WesternDegital Blue 3TB)
- CPU ARM V7 dual-core 1.1GHz
- メモリ 1GB DDR4(増設不可)
- 経費
- こんなところが後悔の原因になった
(後継機を導入した今でも、一応順調に動いてはいるのだが・・・) - 本体に電源を投入して立ち上がり、定常状態に落ち着くまで10分近くかかる。
- ファームウェアの更新が頻繁にあり(感覚的には月1くらい)、1回1時間以上かかるので結構イライラする。
- 導入当初、PCから接続できなくなったときにサポートを利用したが、英語でのやり取りを強いられて結構ストレスを感じた。
- 音楽再生ほかQnapのオリジナルアプリのNet接続と立ち上がりが遅い。20秒ほどかかる。
- スマホ、タブレットなどから当該アプリでアクセスするとき接続に失敗することが度々ある。また、アプリで音楽を聴いているときに、接続が途切れて再生がストップすることが頻繁にある。
3.新たに導入した中級機は……
- 機種
- Synology DS218+
- HDD 2ベイ(WesternDegital Red 3TB×2)
- CPU Intel Celeron J3355 dual-core 2.0GHz
- メモリ 2GB+4GB増設
- 経費
- 本体34,200+HDD10,790×2+増設メモリ1,718 ≒ 57,500円
- 使ってどうなの?
- セッティングは超簡単。箱から出してからHDDの組込みを含めて1時間後には定常状態で作動していた。
- 管理画面はQnapより漫画チックで分かりやすい。サポートも日本語対応の専用アプリがあったりして親切そう。
- まだ、機能の一部しか使っていないが、本体、アプリとも立ち上がりが早く反応も良好。
- 一番よく使う音楽アプリの「DSaudio」は、ピンとかキューとか聞きなれない用語が出てきて分かりにくい。アプリは全般に慣れが必要か。
- ただ、アプリでの音楽再生が途切れることはほとんどなく、稀に途切れてもほんの束の間で復活する。当たり前の挙動だとは思うが、これが筆者にとっては実にありがたい。
- Qnap、Synologyとも台湾のメーカーだが、日本語化の面ではSynologyが一歩先を行っている。ネット内の情報もSynologyの方が多く充実しているので心強い。
4.両者を使っての感想と考察
- 使用感の速い遅いで上位の機種に分があるのは、CPUやメモリーの性能、容量などからして当然だが、セッティングやユーザーインターフェースはSynology、Qnapともグレードに関わらず同じなので、多少値は張っても最初からある程度の性能を持つ機種を求めた方が得策だと思った。
- 企業サイトやサポートの日本語化とユーザーによるネット情報の充実度は、断然Synologyに軍配が上がる。普及しつつあるとはいえ、NASは依然としてマニアックなデバイスなので、日本語対応の強化とネット内の関連情報の増加は、シェア拡大ばかりでなくメーカーとしてのイメージアップにも重要なのだ。
- アプリでの音楽再生で最初は順調だった Qnap入門機だが、ほんの1~2分の再生で途切れ、イラッとしながら再接続するような状態になって見方が変わった。せめてFAQや「こんなときには」でもあれば、個人的イメージの悪化は避けられたような気がするのだが。
- それらを考えると(詳しいことを語る技量はないが)、両社には顧客ターゲットの違い、さらに言うと持っている顧客像の違いがあるような気がする。Qnapは、ある程度の知識を持ってNASの設定や運用、トラブル対応に当たれるユーザー、一方のSynologyは、それほど知識がなくても適切、快適にNASを運用したいユーザーを念頭においての展開ではないだろうか。
- 筆者は、事前検討、情報収集、スキルアップが足らずに、余計な投資をしてしまったが、たまたまSynologyが力を入れる顧客セグメントに属していたというだけで、どちらのデバイスやサポートが優れている云々、ということではない。逆に言えば、NASのような深みのある商品に選択の余地、楽しみがあるなんて素敵じゃないか……と思う。
5.まとめ
4で、まとめっぽいことを書いてしまったので簡単に。
筆者のようにNAS自体やサーバー、LANにような関連する知識に乏しく、これから詳しく勉強するのもアレだしな~という感覚で、それでも諸々の機能の恩恵には浴したい、いわば自らを軽めな、かつ欲求は重めなユーザーと自覚する方は、Synologyを選んだ方が無難だと思います。
それと、「よく分からないからとりあえず入門機を・・・」という発想は止めて、最初からある程度の投資は覚悟して(財布と相談ではありますが)、性能や速度、拡張性に優れた中級以上の機種を選ぶことをお勧めします。
いくら高くても、諸兄諸姉が使われているパソコンよりは安価だと思いますから。
話が最初に戻ったところで本稿はおしまいです。
ストレージとしてHDDではなくSSDを使うかかなり迷った件は、別に書く機会があると思いますので今回はここまでにします。
ご精読ありがとうございました。