今年もあと2週間になりました。東京では、先月からの寒さのお陰できれいな紅葉の余韻が残る年の瀬です。
今年は、本を何冊読んだだろう。
面白かった本、途中で投げ出したくなった本、知識の谷を埋めてくれた本等々、いろいろあった。
来年とその先は、いったい何冊読めるのだろう。
God knows.
ある日突然、失踪し音信不通となった夫貴之に代わり個人探偵事務所を維持する下澤唯。幼馴染の刑事風太に見守られながら探偵として、人間として成長する女性の姿を描く連作ミステリーである。
第3話あたりまで、ストーリーから夫失踪の必然性が全く感じられず、すごく陳腐な小説に思えて放り投げたくなったが、そこをグッと堪えて最後まで読むと各編の繋がりと巧妙に仕掛けられた伏線が浮き上がってくる。
そして巻末の後書きで、第1話執筆開始から終章脱稿まで7年かけていることが明かされ、主人公唯の成長と変化を背景にした物語は、実は著者の成長譚でもあったことが明かされる。
ん~、「出来の悪い料理ですが、時間をかけて香辛料と器で何とかしました。いかがでした?」と後から言われてもな~、食べてみたらおいしかったんだけどさ。
・・・というわけで、ニュートラルから星1つ減といたす。