2009年の直木賞候補作。
まず、独自の着眼点に意表を突かれる。
会計検査院 vs 大阪国・・・
なっ、なんだ一体?
国家予算の監査をする役所が何を相手にするって?
思わせぶりな本書のタイトルにも気をつけた方がいい。
途中まで完璧なフェイントである。
作者は、このSFファンタジーに二つの軸を置いた。
一つは「大阪人の気骨」
もう一つは「男の矜持」
万城目氏が533ページに及ぶこの小説に込めたものは、
「誰がなに言うたかて、男には守らなあかんもん、伝えなあかんもんがあるやろ」
・・・これだと思う。
人物造形が弱い、全般に冗長である、旭の美貌や大輔のセーラー服に必然性が薄い、そして小説としての完成度は・・・
欠点をあげればきりがないが、本作にはそれを補って余りあるSence of Wonderがある。
時空を超えて父から子へ伝承される大阪の秘密を、貴方は知りたいか。
されば、書店へ急げ!