今は昔、東北好きのあんちゃんがおったとさ。
上野発の夜行列車で青森に旅行したのは、今を去ること30年以上前の独身時代。旅のテーマは、その当時ハマっていた「津軽三味線」と「岬」でした。
弘前の民謡酒場「山唄」の大広間で聴いた津軽三味線の印象は今でも鮮明です。舞台には三味線を打楽器のように力強く叩く演奏者。飲みながら聴いている客から良い演奏にはお捻りが飛びました。
三味線の合間にはリズミカルな津軽民謡の踊りと太鼓が入ったりしましてね。
そして、もうひとつ鮮明に覚えているのが、なぜか和服の踊り子さんの履いていた足袋です。特に足袋の裏(フェチではない)。その踊り子さんが私の脇に来てお酌をしてくれたからでしょうか。名前まで覚えています。○○子さんというかたでした。踊りの直後で顔が上気していて、私も若かったしときめきましたね。
チップを渡せば違う展開が、な~んていうオッサンの発想はそのときは持っていませんでした。純粋だったな(汗)。
「岬」の方は、ストイックに竜飛岬と大間崎を廻りました。強い風に髪の毛を逆立てながら、眉間に皺を寄せて鈍色の津軽海峡を眺めて、ここが本州の北の外れかぁ~、と妙に感激したりして。
お気づきのように石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」が流行っていたのはこの頃でした。
青森まで新幹線が開通したニュースを見て、当時から流行りものに影響されやすい人間だったのだな~、(熱を上げる~すぐに飽きる)というパターンを繰り返して生きてきたのだな~、と全然関係ない方向に思考が膨らみました。
【追記】
弘前の「山唄」は、建物も新しくなり現在はライブハウスとして営業しているようです。スタッフ紹介の中に残念ながら○○子さんはおられませんが、店内の写真からは何となく当時の雰囲気が感じられます。