もう10年前になりますが、タイ王国のバンコクに半年間滞在したことがあります。21世紀を「天使の都」で迎えた男と呼んでくれ、なんてね。
彼の地の物価の安さは今でも懐かしく思い出だすことがあります。一例が麺の値段。
円換算で一杯60~90円程度でしたから日本で食べる蕎麦やラーメンの約10分の1でした。物価全般となるとそこまでのことはありませんが、千円札を万札感覚で使っていたと言っても大げさではないでしょう。
安い物価が維持されるということは、低い賃金で働く人がいるからで、逆に言えば人件費が安いから物価水準が低く保たれているのだな~、などとクイッティアウ(タイの麺)をすすりながら経済的に頓珍漢な素人は考えたものでした。
いまバンコクで起こっている騒乱は、長年抑圧されてきた農村部の貧困層の人たち(赤服)が政治的、経済的に目覚めた結果、起こっていると言われています。国民的な支持を集める国王が調停に乗り出して事態が収まる、といういつもの展開も今のところ気配すらありません。むしろ赤服集団は、国王の写真を掲げていないとも伝えられています。
いずれ事態は収まるとしても、「天使の都」が以前と同じ心優しい人々の街に戻るのか、このところのバンコク発のニュースがとても気になります。