Categories: 本/書評

最近読んだ本_2018/09

 このところの雨、雨、雨には正直言ってゲンナリ。秋の長雨とはよく言ったものです。

 おまけに今日現在、チャーミーくん(台風24号)が日本列島を串刺しコースで襲撃しようと南西方向から近づいている。陰暦「長月」の語源が「長雨月」という説にウンウン頷いてしまいますな。

 さて、そんな陽気のせいか読書のモチベーションは上がらず、今月も1冊のみでした(雨のせいにすな)。

 

恩田陸「ドミノ」★★★☆☆
著者については、不思議な力や超能力を扱ったもの、伝奇もの、ファンタジーなどで独特な世界観を築いているちょっと変わった作家というイメージしか持っていなかったが、本作を読んで自分の勉強不足と狭量さを反省した。
真夏の東京駅を目掛けて集まってくる氏素性、職業、年齢ほかてんでんバラバラな27人と1匹。無数の客でごった返す巨大ターミナル駅でそれぞれの目的と事情を抱えた「彼らと1匹」が交差する時、奇想天外、抱腹絶倒の一大パニックが巻き起こる。
要するに純粋、上質なエンターテイメントものなんである(満足度は中くらいだったが)。
2001年の作だから今を去ること17年前、この人はすでに私が勝手に作っていたイメージに関係なく、こういう小説を書いていたのかー、知らなんだ~、という御粗末。
たくさんの登場人物にもかかわらず、各々を個性的に際立たせる文章表現はとても巧みだし、直木賞の前に吉川英二文学新人賞、本屋大賞、山本周五郎賞まで獲るような作家さんは、変な固定観念を持たず素直に幅広く読まなくてはいかんね、と思った曼珠沙華の候だった。
hideandseek

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