独自の視点でYouTubeのギター映像を紹介する本シリーズ。
振り返ってみればVol.01のアップが2007年7月で、あれから11年。
まさに光陰矢の如し、Time has wings.
往年のSF作家 光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」とまではいきませんが、1本目からすでに四千以上の昼と夜が過ぎていたとは、あな恐ろしや〜。
・・・ということで15本目は、コール・ポーター作曲「Night and Day」の特集で3本です(強引すぎ!)。
実をいうと、今回の目玉は2番めの映像でしてね。世の中にはこんな凄いことをサラッとやっちゃう人が居るんだ~、との驚きと感激を皆さんとぜひ共有したい。
そういういうことで。
さて、まずジョー・パス。このギター職人のソロアルバム「Virtuoso」を手にしたのは学生の頃でした。
スタンダードの名曲を元に、たった6本の弦から尽きることなく繰り出される独創的なアイデアと、かのベートーベンの名言「ギターは小さなオーケストラ」を地で行く重厚さと超絶技巧。
あまりの衝撃に耳にタコができるくらい聴き込みました。
…なんて偉そうなことを言ってますが、実のところ繰り返し聞いたのは冒頭のN&Dだけだったりして。でも、60を過ぎた今、再びこのアルバムを全曲通して聴いたとしてもたぶんお気に入りが変わることはないでしょう。
2本目は、ベルギーの若手 Koen Claeys が、J.パス版をクラシックギターで完全コピーしたバージョン。
いやはやなんとも怖いもの知らずがいたものです。しかも上手い!
ご存知のように、J.パスはスチール弦のフルアコースティックGをピックで弾いています。対するクラシックギタリスト K.Claeys は、ナイロン弦をp,i,m,aで弾き音色やタッチで全く別の美しい世界を造っていますが、音量やスピード面では明らかに不利。
にもかかわらず、かのJ.パス版のN&DをクラシックGでやっちゃうその勇気とパワーには恐れ入りました。
久々に刺激を受けたので楽譜屋さんに走るとしますか(笑)。
最後は、ジプシースウィングの若武者 Jimmy Rosenberg 。ジプシー音楽一家Rosenbergファミリーの一員で、ソロアルバムも出しています。
・・・ところで、言わずもがなですが、ミュージシャンと薬とは洋の東西に関わらず切っても切れないものがあります。
記憶に新しいところでは日本のコーラスDUOホニャ&ラララのラララ。今回取り上げたJ.パスも一時期施設で療養していたことがあるし、残念ながらこの J.Rosenberg にもどうやらその気があるらしい・・・
フム…
その才能は、血筋ばかりでなく昼夜を問わない不断の努力で磨いたものでしょう。せっかくのテクニックと歌心を潰えさせることなく、こんなにも素晴らしいパフォーマンスを末永く未来に残してさらに花開かせて欲しいですね。
さて、曲は同じでも三人三様の演奏が皆さんの耳にはどのように聴こえたでしょうか。
ナニナニ?
Night and day, you are the one…
夜も昼も、あなただけ〜
…と、たまには誰かに言ってもらいたい?
その点だけは、間違えなく共有できた?
気持ちが通じて幸いです(笑)