top > 本

カテゴリー「」の記事一覧

 

題名
四日間の奇跡
著者
浅倉卓弥
あらすじ
 留学先のオーストリアで暴漢に拳銃で撃たれ指を欠損した若きピアニスト如月敬輔。その不幸な事件の際に助けた少女千織は脳に障害を持っていた。日本に戻り敬輔は身よりの無くなった千織の面倒見ることになる。
 自らはピアノを弾くことが出来なくなった敬輔は音楽に関する千織の才能に気付きピアノを教え始める。数多くの名曲をマスターした千織を伴って各地の施設を慰問して歩く2人。
 そんな折り,たまたま尋ねた山奥の療養所で敬輔と千織は現実とは思えない不思議な四日間を過ごすこととなった。しかもその後の千織は・・・
お勧め度
★★★★★(5/5)

 

爽やかに泣けます。この小説,第1回「このミステリーがすごい!大賞」で金賞を取っていたんですね。読んでいる途中で本の解説で知りました。図書館で借りる時には安っぽい題名だなと思いましたが,読後は輝いて見えますから,この本。

さて,この小説の重要なポイントである,あるアイデア。実は以前に紹介したことのある小説に使われていました。個人的なマイナスポイントはこの点だけ。「お勧め度」は最近ユルユルの涙腺を更に緩まされたので最高得点。絶対お勧めです。あなたも岩村真理子に恋しませんか。

題名
心はいつも荒野
著者
司城志朗
あらすじ
元高校野球児で現在失業中の主人公が見知らぬ男から電話で誘われた。出かけていった先で階段から転げ落ち気を失う。気が付くと車に載せられビニールシートが掛けられている。首筋には絞められた痕があり記憶も失っている。どうやら海に捨てられるらしい・・・
頭を打ったことによる記憶喪失と思いきや,意外な事実が明らかにされていく。主人公が殺されかけた裏にはある新興宗教団体との確執が・・・
お勧め度
★★★★☆(4/5)

 

後半に入って主人公が新興宗教団体に潜入してからは展開が読めてしまって逆に緊迫感が無くなりますが,前半の展開はおもしろかったですね。この作家,全体に人物描写が上手いんだけど,殺人集団から逃げる主人公を助けた先生と車椅子の少女は特に良いです。ストーリーを膨らませています。2人を終盤まで絡ませたらもっと良かったかな。

主人公のことを書くとネタ割れになりますが,少しとぼけた面があって好きですね。先日,紹介した「テロリストのパラソル」の島村とも共通するところがあります。それとストーリーには直接関係ありませんが,警察での取調べの場面が結構怖かったです。現実の取調べってこうだろうな,と思わせられました。

本に挟まれている"しおり"みたいなカード。
このブログのカテゴリーにはしていませんが,私の趣味のひとつに本屋での立ち読みがあります。日常の雑事を忘れて真新しい紙の臭いがする雑多な本,雑誌などを読みふける幸せのひととき。あ~,やめられまへんな~。
(副作用としてこういう現象も観測されていますが。「日記08/06/17」)

さて,そんな至福のひとときに唯一気になる,鬱陶しい,いまどきの若者言葉で言えば「うぜー」ものがあります。皆さんも良くご存知の,本などに挟んであるアレ。売上カードとか売上伝票(スリップ,短冊とも言われている)と言われ,どんな本が売れているのか書店や出版社がチェックするためのものらしいです。ほとんどの新刊本,文庫本に挟んであって,雑誌などでも挟まれているものがありますね。

立ち読みファンとしてはアレが実に邪魔なのです。ページをめっくて行くと売上カードが挟んであるために10ページ,20ページくらいが見られなくてイライラすることが多々あります。二つ折りにしてあるのは表側にその本についての情報が表示されていて再注文や売れ筋のチェックに利用,裏面は切り離して出版社に送ると1枚いくらで報奨金が書店に対してバックされるのだとか。最近ではPOSで売り上げ管理する書店もあるようですが,それでも依然として律儀に使われています。

日本で売られている新刊本にはISBN番号やバーコードが付いているので,書店の売上管理なんかはそれで出来るように思いますが,歴史の長い出版業界には独自の商習慣があるのでしょう。アレを廃止したからといって書籍の売り上げが急伸することはないでしょうから今後も使われ続けるのだろうと思います。いささか時代遅れの感があるのでひと言,言わせてもらいました。

最近,面白かった本は藤原伊織の「テロリストのパラソル」。
アル中のバーテン,島村がいつものように白昼,新宿中央公園でウイスキーを飲んでいるころに起こった爆弾テロ事件。爆心地での惨状を目にした島村はそのまま逃げ去り,ホームレスに紛れて身を隠す。犠牲者の中にはかつての恋人,優子が含まれていた。その細い線から次々に明かされる島村の過去と人間関係。テロリストの目的は?島村との関係は如何に?

アル中だけどタフガイの島村。バーで彼が唯一出す料理がホットドッグで,これが本当においしそう!この小説,日本人が日本を代表する街である新宿を舞台に書いた小説にもかかわらず,全体に翻訳物を思わせる雰囲気が漂っています。冒頭の爆弾テロからどういう方向にストーリーが展開するのか,アル中の島村が何を目的に行動しているのかが全く読めません。巧みに隠されているのですが,読んでいて背筋がゾクゾクしました。

SF小説以外でこういったセンスオブワンダーに溢れた作品は貴重です。それと脇役達。知性派やくざの浅井,バイオリンを弾く少女,犠牲者の息子である帰国少年,そして松下塔子ほか登場人物が皆,魅力的に描かれています。会話もすごくおしゃれ。次もまたこの人の書いた小説を読んでみたい,と思わせる作品でした。

「テロリストのパラソル」は2001年に江戸川乱歩賞と直木賞を同時に受賞しました。そして1948年生まれである藤原伊織さんは現在,ガンで闘病中とのこと。一日も早く回復されることをお祈りしています。

「亡国のイージス」を読み終えました。福井晴敏の本は「終戦のローレライ」に続いて2作目です。ずしりと腹にこたえました。

私の場合,本を読むときに一番集中できるのは何故か電車の中と駅のホームなので,通勤時や電車で移動するときは必ず本を持っています。特に朝夕の通勤時には電車の中で必ず文庫本を開いています。普通は約15分の乗車時間でだいたい10~15ページ読んで下車駅に着くと本を閉じますが,それでは足らずに下車してからホームのベンチで続きを読むこともあります。それは当然,面白い本の場合ですが,そんな本にはなかなか出会えません。そんな中,福井晴敏の2冊は,1年ぶりくらいでホームで読んだ本でした。

「亡国のイージス」は文庫本で1000ページを超える大作でありながら,現場で働くたたき上げの自衛官と○○○の工作員を主軸に,自衛隊の抱える矛盾,官僚機構の功罪,そして日本の国のあり方などに鋭く迫り,全く飽きることなく読ませてくれました。主人公達の超人的な活躍は物語ですからご愛嬌としても,自衛隊のエリート幹部と現場上がりの兵卒達の二重構造と対立はどんな組織にも当てはまる構図に思え,サラリーマンも経験しているという作者の奥深さを感じました。

次は東野圭吾の「秘密」を読み始めましたが,時間はかかっても福井晴敏は制覇したい作家のひとりです。

<訂正9/11>ストーリー上の肝心なところをバラしていたので伏字に訂正しました。

1  2  3  4  5  6

2010/07

Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

WHAT I'M READING

SITE METER

 Since 2006.02.05
 27 entries /
 Thanks to accesses.
あわせて読みたいブログパーツ フィードメーター - 日々流転的備忘録